1979年東京都知事選挙

1979年東京都知事選挙の詳細

1979年4月8日に行われた東京都知事選挙は、第9回統一地方選挙の一環として実施されました。この選挙は、それまでの革新都政から保守都政へと転換する大きな節目となりました。

選挙の背景

1977年、現職の美濃部亮吉知事が高齢を理由に4選不出馬を表明。その後、各勢力が候補者擁立に向け動き出しました。

候補者選定の動き

1977年
総評は太田薫に出馬を打診。
麻生良方は宇都宮徳馬に都知事選出馬の意向を伝えるも反対される。
革新系では永井道雄を推す声も。
日本社会党委員長に飛鳥田一雄が就任。

1978年
太田薫が正式に出馬表明。
社会党と総評は太田の突然の出馬表明に困惑。
新自由クラブは牛尾治朗を擁立するも、牛尾自身が出馬を否定。
社会党委員長の飛鳥田は太田の行政手腕を危惧し、都留重人に打診するも拒否される。
飛鳥田と太田の会談が決裂し、飛鳥田は太田を拒否。
麻生良方が無所属で出馬表明。

1979年
総評は太田擁立を決定。
武蔵野市長の後藤喜八郎が社会党の要請で出馬表明。
公明党は鈴木俊一を擁立、自民党、民社党も同調。
自民党は当初、牛尾治朗を推していたが大平首相が鈴木を推薦。
飛鳥田と総評は一本化で合意し、太田に一本化。

選挙戦の展開

3月14日に告示された都知事選には13名が立候補しました。

主要候補

鈴木俊一：自民党、公明党、民社党推薦の保守系候補。
太田薫：社会党、共産党、総評などが支持する革新系候補。
麻生良方：無所属で立候補した元衆議院議員。

選挙戦の混乱

現職の美濃部知事が「等距離中立宣言」をし、選挙期間中に外遊。
太田陣営の演説会で右翼による襲撃事件が発生。
麻生と太田の支持をめぐり、野坂昭如が仲介を試みるも混乱。
選挙戦最終日、鈴木と太田の街頭演説で右翼が暴れ、太田が負傷。

文化人、芸能人の応援

各候補は、文化人、学者、芸能人、スポーツ選手などの応援を受けました。

鈴木陣営：丹下健三、團伊玖磨、森英恵など。
太田陣営：青木宗也、松本清張、永六輔など。
麻生陣営：江木武彦、藤山一郎、三船敏郎など。

選挙結果

4月8日の投票の結果、投票率は55.16％と低迷。

得票結果

鈴木俊一：当選。
太田薫：落選。
麻生良方：落選。

選挙後の動き

太田は落選後、社会党を離党。
統一地方選挙後半戦の中野区長選で麻生は保守系候補を応援し、批判を浴びる。
* 麻生は衆院選に立候補するも落選し、政界を引退。

選挙の総括

この選挙は、美濃部都政への批判と「しらけムード」が蔓延する中、有権者が革新系から保守系へと大きく転換した選挙でした。組織票を固めた鈴木俊一が当選し、1967年から続いていた革新都政は幕を閉じました。また、選挙戦における右翼の暴力や候補者間の駆け引きなど、多くの出来事が起こり、後世に語り継がれる選挙となりました。

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