1980年のラジオ (日本)

1980年の日本におけるラジオ放送は、番組編成において特に動きの多い一年となりました。この時期には、新たな聴取者層を開拓しようとする試みや、既存の人気パーソナリティを起用した番組、そして特定のテーマに焦点を当てた企画番組など、多岐にわたる新番組が各局でスタートしました。同時に、長年親しまれた番組が終了したり、内容やタイトルが変更されたりと、放送内容の大きな変遷が見られました。

年間の動向を追うと、特に春の改編期である3月から4月にかけて、全国各地で多数の新番組が登場しています。ラジオたんぱでは、学習支援となる「中学生実力養成講座」や深夜のニュース情報番組「ニュース・オールナイト」の放送を開始しました。NHKでは、ラジオ第1で歴史を振り返る「あの時わたしは」が、NHK-FMでは音楽に特化した「夜のスクリーンミュージック」、「ゴールデンジャズフラッシュ」、「夜の停車駅」といった番組が始まりました。

民放各局の動きも活発で、文化放送では若者向けの「青春キャンパス」がスタートし、秋には看板番組となる「吉田照美のてるてるワイド」が登場するなど、人気パーソナリティを起用したワイド番組が充実しました。ニッポン放送では、「オールナイトニッポン」に坂崎幸之助が登場したほか、当時引退を発表した山口百恵に焦点を当てた番組や、所ジョージの個性的な番組などが開始されました。秋の改編では、タモリの「だんとつタモリ おもしろ大放送!」が始まるなど、バラエティ豊かなラインナップが加わっています。

その他、朝日放送の「お昼ですABC! 一本勝負」、ラジオ大阪の「JAM JAM OSAKA」、中国放送の「あっちゃんのミッドナイト広島」、九州朝日放送の「長谷川ひろし おはよう7」、琉球放送の「RBCおはようジャーナル」、ラジオ沖縄の「朝はさわやか 工藤幸男のおはようおきなわ」など、地方局でも特色ある新番組が数多く生まれました。エフエム東京でも、アメリカの音楽事情を紹介する番組などが始まっています。

夏以降も新番組の開始は続き、四国放送の「あんたがたいしょう」や、エフエム東京の音楽番組などが加わりました。秋、10月の改編期には再び大規模な番組改編が行われ、東京放送の「うきうきワイド こんにちワ神谷明です」、文化放送の「小林克也のおはようマイラジオ」や音楽史を扱う番組、中部日本放送のワイド番組など、各局で聴取者の獲得を目指した新企画が投入されました。

一方で、番組の終了や改題といった変化も見られました。毎日放送の「グアムグアムリクエスト」が4月に、ニッポン放送の「野末陳平のオール電話リクエスト」が9月に、そして「あおい君と佐藤クン」が12月にそれぞれ放送を終えました。また、ニッポン放送の「ロッテ 集まれ!ヤンヤン 熱気でムンムン!」は「ロッテヤンスタNo1」とタイトルを改め、新たな形で継続されました。一時的に再開されたニッポン放送の「村上正行のお早よう6時です」も、同年8月には再び終了するなど、番組の栄枯盛衰がうかがえる一年でもありました。

この年、特に注目された出来事としては、8月にNHK-FMで放送された「拓郎105分」のような単発の特別番組も挙げられます。こうした番組編成の動き全体を通して、1980年の日本のラジオ界が、新しい才能や企画を取り入れながら、多様な聴取者のニーズに応えようと変化し続けた一年だったと言えるでしょう。

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