1982年の世界ラリー選手権

1982年の世界ラリー選手権は、FIA世界ラリー選手権の歴史において重要な1年となりました。10回目のシーズンとなるこの年は、全12戦で激戦が繰り広げられ、選手権のスケジュールも前年に比べ安定性を増しました。変更は1、2カ所にとどまり、ニュージーランドがアルゼンチンの代わりに復帰を果たしました。

このシーズンの最大の特徴は、ドイツ勢の圧倒的な活躍です。アウディとオペルという、2つのドイツの自動車メーカーが、マニファクチャラーズ選手権で1位と2位を独占しました。その勢いはドライバーズ選手権にも及び、オペルのドライバーであるヴァルター・ロールがチャンピオンの座を獲得。見事な勝利を収めました。アウディからはミシェル・ムートンとハンヌ・ミッコラが2位と3位に入り、チームとしてマニファクチャラーズタイトルを獲得する原動力となりました。

ムートンの2位は、女性ドライバーとして史上最高の成績であり、彼女の活躍はラリー界の歴史に大きな足跡を残しました。彼女とミッコラの活躍は、アウディのマニファクチャラーズタイトル獲得に大きく貢献したと言えるでしょう。

ランキングの算出方法にも注目すべき点があります。ドライバーズランキングは全12戦の結果が反映されたのに対し、マニファクチャラーズランキングは10戦のみが有効とされました。ドライバーズタイトルのみを争うイベントとして、スウェーディッシュ・ラリーとラリー・コートジボワールが開催されました。もし、マニファクチャラーズランキングに全12戦の結果が反映されていたら、ロールの圧倒的な強さがさらに際立っていたことでしょう。

1982年の世界ラリー選手権は、ドイツ勢の支配、そしてムートンの歴史的快挙によって記憶に残るシーズンとなりました。安定したスケジュールと、各メーカー、ドライバーの熾烈な争いは、観る者を魅了したに違いありません。この年の結果は、ラリー史に刻まれた重要な出来事として、今後も語り継がれていくことでしょう。様々な要因が絡み合い、ドラマチックな展開を見せたこのシーズンは、世界ラリー選手権の歴史において、特筆すべき1年だったと言えるでしょう。

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