ヴァルター・ロール

ワルター・ロール：ラリーレジェンドの軌跡

ワルター・ロール（Walter Röhrl、1947年3月7日 - ）は、ドイツ出身の世界的なラリードライバーであり、レーサーです。WRC（世界ラリー選手権）で1980年と1982年にドライバーズチャンピオンの栄冠に輝き、その卓越したドライビングテクニックでモータースポーツ界に多大な影響を与えました。近年では「ワルター・ロール」と表記されることも多いです。

華麗なるラリーキャリア

ロールは、その類まれな才能で数々の賞賛を受けてきました。イタリアのモータースポーツ専門家100人による投票で「ベストのラリードライバー」に選出され、フランスでは「ミレニアム・ラリードライバー」の称号を獲得。さらに、かのニキ・ラウダからも「運転の天才」と称賛されるなど、その実力は広く認められていました。

フィアット、ポルシェ、オペル、ランチア、アウディなど、数々の名門チームに所属し、それぞれのマシンを自在に操り勝利を掴みました。特にWRCタイトルを獲得したフィアットを離れた後、1982年のモンテカルロラリー終了後、ポルシェの開発トップ、ヘルムート・ボッシュからの誘いを受け、ポルシェ911試作4WDの開発にも携わっています。

40歳を迎えた1987年、ロールはラリー界から惜しまれつつ引退。その後はアウディでDTM（ドイツツーリングカー選手権）に参戦する傍ら、開発ドライバーとして活躍しました。

ロールのドライビングスタイルは、特にアウディ時代以前、恵まれたマシンがなかった時代にはアグレッシブで、猛烈なチャージを繰り返すものでした。その凄まじい走りは、アウディのフェルディナント・ピエヒをして「ヤツと戦うくらいならアウディで走らせろ」と言わしめるほどでした。

モンテカルロラリーでの伝説

伝統のラリー・モンテカルロでは、2012年時点でセバスチャン・ローブに次ぐ4勝を記録しています。中でも、1982年から1984年にかけての3連覇は特筆に値します。オペル・アスコナ400（後輪駆動）、ランチア・ラリー037（ミッドシップ）、アウディ・クワトロ A2（AWD）と、毎年異なる駆動方式のマシンを駆りながら見事な勝利を収めました。この偉業は、ロールの卓越した適応能力と類まれなドライビング技術を証明しています。

ポルシェとの深い繋がり

ロールとポルシェの関わりは深く、16歳から始めた仕事で貯めたお金で20歳の時に初めて購入した車はポルシェ356スーパーでした。その後、フォードとドライバー契約を結ぶと911に乗り換え、プライベートでも911を愛用するなど、深い繋がりを持っています。

1993年以降はポルシェの市販車全般のテストドライバーを務め、ニュルブルクリンク北コースの記録にも度々その名前が登場します。現在もポルシェのテストドライバーとして活躍し、2000年代中盤からはポルシェAGのプロモーションにも携わり、クラシックカーイベントなどでポルシェミュージアム所蔵のレーシングカーをドライブするなど精力的に活動しています。

プライベート

1968年から交際を始め、10年あまりの交際期間を経て1978年にモニカ夫人と結婚しました。しかし、子供には恵まれませんでした。自伝の中で、ロールはラリーに忙しかったこと、そして子供ができたら大きなリスクを犯さなくなることを恐れたと述べています。

多彩なモータースポーツ活動

ロールの活躍はラリーだけにとどまりません。ヒルクライムレースではパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライムで優勝し、耐久レースではブランズハッチ6時間耐久レースやル・マン24時間レースにも参戦しています。

ワルター・ロールは、その類まれな才能と経験で、モータースポーツの歴史に輝く偉大なドライバーとして記憶されています。彼の功績は、これからも多くのドライバーたちに影響を与え続けるでしょう。

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