1982年の航空

1982年の航空史：技術革新と国際紛争が交錯した一年

1982年は、航空業界にとって技術的な進歩と国際的な紛争が複雑に絡み合った激動の年でした。新型航空機の初飛行、宇宙開発の進展、そしてフォークランド紛争における航空戦が、この年の航空史を彩りました。以下に、その詳細を記述します。

新型機の登場

1982年には、数々の画期的な航空機が初飛行を迎えました。

1月6日：VM-T初飛行 ソ連のミャスィーシチェフ設計局が、M-4戦略爆撃機の機体構造を利用した規格外貨物輸送機VM-Tを初飛行させました。この機体は、宇宙ロケットの部品輸送など、特殊な貨物輸送に用いられました。
2月19日：ボーイング757初飛行 ボーイング社の新型旅客機757が初飛行しました。この機体は、中距離路線向けの効率的な旅客機として、世界中の航空会社で採用されました。
4月3日：エアバスA310初飛行 ヨーロッパの航空機メーカーエアバスが開発したA310が初飛行しました。この機体は、A300の発展型として、より効率的な運用が可能となりました。
8月30日：ノースロップF-20タイガーシャーク初飛行 アメリカのノースロップ社が開発したF-20タイガーシャークが初飛行しました。この機体は、高性能な戦闘機として開発されましたが、残念ながら採用には至りませんでした。
11月10日：Mi-28初飛行 ソ連の攻撃ヘリコプターMi-28が初飛行しました。この機体は、強力な武装と高い機動性を備え、対戦車作戦などで活躍しました。
12月26日：An-124初飛行 ソ連の輸送機An-124が初飛行しました。この機体は、巨大な貨物室を持ち、大型貨物輸送に活躍しました。

これらの機体の登場は、航空技術の進歩を象徴する出来事でした。

フォークランド紛争と航空戦

1982年、フォークランド諸島を巡り、アルゼンチンとイギリスの間で紛争が勃発しました。この紛争では、両軍の航空戦が重要な役割を果たしました。

4月2日：フォークランド紛争勃発 アルゼンチン軍がフォークランド諸島に侵攻し、紛争が始まりました。
5月1日：ブラックバック作戦 イギリス軍のアブロ バルカン爆撃機が、アセンション島から出撃し、フォークランド諸島のポートスタンリーを空襲しました。
5月1日：シーハリアーの初撃墜 イギリス軍のシーハリアー戦闘機が、AIM-9サイドワインダーミサイルで、アルゼンチン空軍のミラージュIII戦闘機を撃墜しました。
5月4日：駆逐艦シェフィールド撃沈 アルゼンチン空軍のシュペールエタンダール攻撃機が、エグゾセミサイルでイギリス海軍の駆逐艦シェフィールドを撃沈しました。これは、対艦ミサイルの威力を示した事例として注目されました。
5月21日：フリゲート艦アーデント撃沈 アルゼンチン空軍の攻撃により、イギリス海軍のフリゲート艦アーデントが沈没しました。
5月25日：駆逐艦コヴェントリー撃沈 アルゼンチン空軍のスカイホーク攻撃機が、イギリス海軍の駆逐艦コヴェントリーを撃沈しました。
6月14日：フォークランド紛争終結 アルゼンチン軍が降伏し、フォークランド紛争は終結しました。この紛争で、イギリス軍は34機の航空機を失い、アルゼンチン空軍は109機の航空機を破壊されました。

フォークランド紛争は、現代戦における航空戦の重要性を再認識させる出来事となりました。

航空業界のその他の出来事

1982年には、他にも様々な出来事がありました。

1月8日：エアバスA300の二人乗務承認 エアバスA300が、ワイドボディ旅客機として初めて、操縦士と副操縦士のみでの飛行が承認されました。
1月27日：セスナ1000機目のビジネスジェット出荷 セスナ社が、1000機目のビジネスジェットを出荷しました。これは、ビジネスジェット市場の拡大を象徴する出来事でした。
6月24日：ブリティッシュ・エアウェイズ9便エンジン故障事故 インドネシア上空で、ブリティッシュ・エアウェイズ9便のボーイング747のエンジン4基全てが火山灰により停止する事故が発生しました。パイロットの懸命な対処により、エンジンが再始動し、ジャカルタへ緊急着陸することができました。
9月26日：ユナイテッド航空ボーイング767-200運航開始 ユナイテッド航空が、ボーイング767-200の運航を開始しました。
9月30日：ヘリコプターによる世界一周飛行達成 H Ross Perot Jr. とJ.W. Coburnが、ヘリコプターによる世界一周飛行を達成しました。

宇宙開発の進展

1982年は、宇宙開発においても重要な進展がありました。

5月13日：ソユーズT-5打ち上げ アナトリー・ベレゾボイらを乗せたソユーズT-5が打ち上げられ、宇宙ステーションサリュート7号とドッキングしました。
6月24日：初のフランス人宇宙飛行士誕生 初のフランス人宇宙飛行士ジャン＝ルー・クレティエンが、ソユーズT-6で宇宙飛行をしました。
11月11日：スペースシャトルコロンビアによる人工衛星打ち上げ スペースシャトルコロンビアが、人工衛星Anik C3を軌道に運びました。

受賞者

1982年には、航空界で功績を上げた人々に、様々な賞が贈られました。

ハーモン・トロフィー: ドーモン・キャノン
デラボー賞: アナトリー・ベレゾボイ、ヴァンス・D・ブランド、ジャック・ルーズマ、ケン・マッティングリー
FAI・ゴールド・エア・メダル: Paul H. Poberezny

1982年は、航空技術の進歩と国際的な緊張が交錯した、特筆すべき年でした。これらの出来事は、後の航空史に大きな影響を与え、現代の航空業界の発展に繋がっています。

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