1982年沖縄県知事選挙

1982年（昭和57年）11月14日、日本の最南西に位置する沖縄県において、その執行機関である知事を選出するための重要な公職選挙が実施されました。この選挙は、当時の知事であった西銘順治氏の4年間の任期が満了することを受けて、新しい知事を選出するために行われたものです。沖縄県の将来を左右する政治的な選択として、県民の高い関心を集めました。

選挙戦の主要な構図と候補者たち

この1982年の沖縄県知事選挙は、当時の沖縄政治を象徴する「保革対決」の構図が明確に現れた選挙となりました。立候補したのは、保守陣営から再選を目指す現職の西銘順治氏と、革新陣営が統一候補として擁立した元参議院議員の喜屋武眞榮氏の二名です。事実上、この二氏による一騎打ちの様相を呈しました。

現職の西銘氏は、前回の選挙で革新県政から県政を奪還しており、この選挙ではその実績を訴え、安定した県政運営の継続を選挙民に求めました。対する喜屋武氏は、長く参議院議員を務めた経験を持ち、革新勢力の強い支持を背景に、県政刷新を掲げて挑戦しました。両陣営とも組織を総動員し、激しい選挙戦を展開しました。

投票結果と知事の決定

11月14日に投票が行われ、即日開票の結果、現職の西銘順治氏が激戦を制し、二期目の沖縄県知事への当選を果たしました。西銘氏は、対立候補である喜屋武眞榮氏に対して1万3315票の差をつけ、その挑戦を退けました。得票率で見ても、西銘氏が喜屋武氏を上回り、再選を確実なものとしました。

この選挙の最終投票率は81.72パーセントに達しました。これは、前回（1978年）の知事選挙と比較してわずかに0.79ポイントの上昇であり、県民が知事選挙に対して非常に高い関心を寄せていることを示す数字と言えます。高い投票率は、今回の選挙戦が多くの県民を巻き込んだ、緊張感のあるものであったことを物語っています。惜しくも敗れた喜屋武氏は、知事選出馬のために参議院議員を辞職しており、この結果を受けて政界での立場を再検討することとなりました。

同時に実施された参議院補欠選挙

1982年の沖縄県知事選挙の重要な特徴として、知事選と同時に参議院の補欠選挙が行われた点が挙げられます。この補欠選挙は、知事選立候補のために喜屋武眞榮氏が参議院議員を辞職したことによって生じた沖縄県選挙区の欠員を補充するために実施されました。

この参議院補欠選挙にも複数の候補者が立候補し、注目を集めました。自由民主党は、元衆議院議員であった大城真順氏を公認候補として擁立。これに対して、革新勢力は沖縄社会大衆党の副委員長を務めていた仲本安一氏を統一候補として対抗しました。さらに、前沖縄県副知事で弁護士の宮里松正氏も無所属で立候補し、三名の候補者による争いとなりました。

補欠選挙の結果、自民党公認の大城真順氏が当選を果たしました。これにより、沖縄県選挙区の参議院議員の議席は保守系候補が獲得することになりました。知事選で現職の保守系候補が再選し、参院補選でも保守系候補が勝利したことから、1982年のこれらの選挙は、当時の沖縄における保守勢力が一定の勢力を維持していることを示す結果となりました。

選挙の概要データ

告示日: 1982年（昭和57年）10月20日
投票日: 1982年（昭和57年）11月14日
* 最終投票率: 81.72% （前回比 +0.79ポイント）

1982年の沖縄県知事選挙は、現職知事と元参議院議員による保革一騎打ちの構図と、同時に行われた参議院補欠選挙の結果が、当時の沖縄の政治地図を明確に示した選挙として、記憶されています。高い投票率の下で現職が再選を果たし、県政の継続が選択された一方で、参院補選の結果もまた、沖縄の政治バランスを考える上で重要な要素となりました。

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