1983年の全日本F3選手権

1983年全日本F3選手権の概要

1983年の全日本F3選手権は、昭和58年の3月12日から13日に鈴鹿サーキットで開幕し、同年の11月5日から6日の間に鈴鹿サーキットで最終戦を迎えました。この年は、全7戦からなるシーズンでしたが、前年からの参戦台数の減少が著しく、多くの問題を孕んでいました。

参戦台数の減少

その背景には、グラウンド・エフェクト・カー（いわゆるウイングカー）の登場がありました。この新しい車両に比べ、旧型の車両や中古シャシーでは競争力を確保するのが難しく、多くのチームが参加する意義を見出しづらくなっていました。そのため、参戦するためのラルト製ウイングカーの価格が上昇し、結果として参戦コストが増加しました。それにより、年間を通じて参戦したドライバーは15人にとどまり、多くのレースで出走台数が10台未満となる事態が続きました。

開幕戦の展開

開幕戦の鈴鹿BIG2&4では、ハヤシ・321に乗る鈴木亜久里が見事に優勝しました。彼は続く第2戦西日本でも連勝し、2レース連続でポールtoウィンを達成し、5年目にして初めてポイントリーダーとしてタイトル争いの主導権を握る存在となりました。

しかし、第3戦SUGOでは藤原吉政がポールポジションを獲得し、鈴木がリタイヤしたことでポイント差が縮まりました。その後藤原は、第4戦から最終戦までの間に4連勝を達成し、最終的には1983年のシリーズチャンピオンに輝きました。藤原の成功は、日産・サニーなどでのツーリングカーレースで培ったキャリアが生かされた結果です。

若手選手の活躍

一方、シーズン終盤に復帰した前年ランキング5位の舘善泰も注目を集めました。彼は最終戦で2位に入賞し、高いパフォーマンスを示しました。この活躍が評価され、翌年のスピードスターレーシングでのF2レギュラーシート獲得につながりました。

新エンジンの導入

これまで全日本F3選手権ではトヨタの2T-Gエンジンが主流でしたが、9月の第6戦鈴鹿からはCOXスピードがフォルクスワーゲンエンジンを導入しました。このエンジンは、シンプルで軽量な構造を持ち、第1戦から入賞するなど、その基本性能の高さが証明されました。

規則改定の必要性

日本F3協会は、参戦台数の減少という課題に直面し、1984年からのフラットボトム規定の導入を決定しました。この方針は、F3におけるイコールコンディションの実現を目指したものです。この新しい取り組みが、今後の参戦台数の増加に寄与することを期待されています。

スケジュールと勝者

全日本F3選手権のスケジュールは、各戦での勝者が毎回違った戦いを繰り広げました。シリーズポイントランキングは、出走台数に応じたポイント制で運営され、各レースの結果によってドライバーたちの順位が変動しました。

このように、1983年の全日本F3選手権は、参加者の減少やエンジンの新たな流入、若手選手の台頭など、変化の多いシーズンとなりました。官能的なレースが展開されつつも、将来に向けた新しい挑戦の契機ともなり、F3の発展に寄与しました。

もう一度検索