1983年ドイツ連邦議会選挙

1983年西ドイツ連邦議会選挙：政権交代と緑の党の台頭

[1983年]]3月6日に行われた西ドイツ連邦議会選挙は、ドイツの歴史において重要な転換点となりました。前年1982年10月、ヘルムート・シュミット首相率いる社会民主党(SPD)と自由民主党(FDP)の連立政権は、建設的不信任投票によって崩壊。ヘルムート・コール率いるキリスト教民主同盟(CDU)とキリスト教社会同盟]の連立政権が誕生しました。この選挙は、この新たな政権に対する国民の信任を問う、いわば[[国民投票的な性格を持っていました。

選挙の背景：建設的不信任投票と政権交代

1982年の建設的不信任投票は、西ドイツ政治史における画期的な出来事でした。それまで、SPDとFDPによる連立政権が長く続いていましたが、経済政策や外交政策をめぐる対立が深まり、FDPがSPDとの連立を解消。コール率いるCDU/CSUがFDPと手を組み、SPDを政権から排除しました。この急転直下な政権交代は、国民に大きな衝撃を与え、その是非が問われることになります。

選挙制度：小選挙区比例代表併用制

西ドイツの選挙制度は、小選挙区比例代表併用制でした。496議席の連邦議会は、小選挙区制で選ばれる248議席と、比例代表制で選ばれる248議席から構成されていました。比例代表制では、全国集計で有効投票の5％以上を獲得するか、小選挙区で3名以上の議員を選出できた政党のみに議席が配分され、少数政党の乱立を防いでいました。選挙区議席が比例代表議席を上回った場合は、超過議席が生じる仕組みでした。

選挙結果：CDU/CSUとFDPの勝利、緑の党の躍進

選挙の結果、CDU/CSUとFDPの連立政権は勝利を収めました。国民は、建設的不信任投票による政権交代を承認したと言えるでしょう。一方、この選挙で注目されたのは、環境政党である緑の党の躍進です。1980年の選挙では1.5％の得票率に留まっていた緑の党は、今回5％条項を突破し、連邦議会に初めて議席を獲得しました。このことは、西ドイツ政治における「3党制」（CDU/CSU、SPD、FDP）の終焉を意味し、新たな政治勢力の台頭を象徴する出来事でした。

選挙データ

連邦首相: ヘルムート・コール (CDU)
与党: CDU/CSU + FDP
連邦議会定数: 496議席
選挙制度: 小選挙区比例代表併用制
有権者数: 44,088,935名
投票日: 1983年3月6日
投票者数: 39,279,529名 (投票率89.1％)
有効投票数: 38,940,687票 (第2投票)
超過議席: SPD 2議席

まとめ：新たな時代の幕開け

1983年西ドイツ連邦議会選挙は、政権交代と緑の党の台頭という2つの大きな出来事を引き起こしました。建設的不信任投票という異例の事態を経て誕生したコール政権は、国民の信任を得て、安定した政権運営を目指しました。また、緑の党の議席獲得は、環境問題への関心の高まりと、新たな政治勢力の登場を意味し、西ドイツ政治の多様化に大きく貢献しました。この選挙は、冷戦終結へ向かう西ドイツ、そしてヨーロッパ全体の政治状況を大きく変える転換期となったのです。

参考文献

渡辺重範著『ドイツ近代選挙制度史』成文堂

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