1983年東京都知事選挙

1983年東京都知事選挙の詳細

1983年4月10日、第10回統一地方選挙の一環として東京都知事選挙が執行されました。この選挙では、現職の鈴木俊一氏が2期目を目指して立候補し、対する革新系は毎日新聞論説委員の松岡英夫氏を擁立しました。

選挙の背景

前回選挙で大物・太田薫氏を擁立するも敗北した革新系は、当初、社会民主連合の田英夫氏を擁立しようとしました。しかし、連合東京などの反対により断念。その後、総評事務局長の仲介で、松岡氏を統一候補として擁立するものの、選挙運動を最小限に留めるという異例の協約が結ばれました。また、日本自由民主党公認の古賀裕也氏、常連候補の赤尾敏氏、深作清次郎氏、南俊夫氏なども立候補し、その他、タクシー運転手やミニ政党の候補者も加わり、計12名が争う選挙戦となりました。

選挙戦の展開

松岡氏は、社共共闘という枠組みで出馬しましたが、知名度の低さや選挙運動の停滞が響き、終始苦戦を強いられました。また、松岡氏擁立の過程で、当初擁立の動きがあった田英夫氏を支持する市民運動派が排除されたことも、革新系支持層の足並みの乱れを招きました。一方、現職の鈴木氏は、「マイタウン東京」をキャッチフレーズに、安定した選挙戦を展開しました。

投票結果と影響

投票率は47.96%と、前回を大きく下回りました。結果は、現職の鈴木氏が圧倒的な得票数で再選を果たしました。松岡氏は、知名度の低さや運動の停滞から伸び悩み、惨敗しました。また、古賀裕也氏が自民党公認で出馬したことが、一部の有権者に混乱を与え、2万票近くを獲得し、赤尾敏氏を上回る3位となりました。この結果から、社共共闘は29年間途絶えることとなり、2012年に宇都宮健児氏を支持するまで、両党はそれぞれ単独で候補を擁立するか、共産党のみが擁立する状態が続くことになりました。

その他の候補者

常連候補の赤尾敏氏や深作清次郎氏、南俊夫氏なども出馬しましたが、当選には至りませんでした。また、タクシー運転手の高橋満氏や、ミニ政党の福田拓泉氏なども立候補し、多様な候補者が入り乱れる選挙戦となりました。

選挙中のエピソード

松岡氏の応援演説に立った小田実氏が、社共両党幹部の前で既成政党批判を行ったため、日本共産党との間で一時的な決裂が起きました。また、政治運動家の岩崎筆吉氏は、選挙公報に保谷市長や市役所内部のスキャンダルを書き連ね、物議を醸しました。

まとめ

1983年の東京都知事選挙は、現職の強さ、革新系の足並みの乱れ、そして新しい動きが絡み合った、複雑な選挙戦でした。この選挙の結果は、その後の都政や政界に大きな影響を与え、特に社共共闘の終焉は、日本の政治史においても重要な転換点となりました。

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