保谷市

保谷市について

保谷市（ほうやし）は、かつて東京都に存在した市です。2001年1月21日に田無市と合併し、西東京市の一部となりました。東京都心への通勤率は51.1%（平成12年国勢調査）であり、都心へのアクセスが良いベッドタウンとしての側面も持っていました。

地名の由来

江戸時代の文献には「穂屋」または「穂谷」という地名が用いられていました。「穂」の文字が使われていたことから、周辺地域に比べて水利が良く、植生が豊かな土地であったことが地名の由来と考えられています。その後、17世紀後半の元禄時代には公文書に現在の「保谷」の文字が記されるようになり、幕府に提出する書類に誤って「保谷」と記載したことがきっかけで、この字が定着したと言われています。西東京市の成立後も、「保谷」の名は駅名（保谷駅）、町名（保谷町、下保谷）、光学機器メーカー「HOYA」の社名として残っています。

また、東京都国立[[市]]にある谷保地区では、かつて凶作が続いたことがあり、その地域の住民が保谷へ移り住んだ際、故郷の「谷保（やほ）」を逆さにして「保谷（ほうや）」と名付けたという伝承も残っています。

地理

保谷市は、現在の西東京市の一部にあたり、具体的には以下の地域が該当します。

ひばりが丘（田無市ひばりが丘団地であった三丁目2番を除く）
ひばりが丘北
住吉町
栄町
北町
下保谷
東町
中町
泉町
保谷町
富士町
東伏見
柳沢
新町

隣接していた自治体

保谷市は、以下の自治体と隣接していました。

東京都：練馬区、田無市、武蔵野市、東久留米市
埼玉県：新座市

歴史

保谷市は、他の多摩地域と同様に、江戸時代ごろから江戸への農産物の供給地として発展しました。特に玉川上水からの分水である千川上水の開通により、新田開発も行われました。大正時代には、池袋と所沢を結ぶ武蔵野鉄道（現在の西武鉄道池袋線）が開通し、保谷駅とひばりヶ丘駅（当時は田無町駅）が開業しました。その後は、鉄道を利用して東京（市内）の糞尿を肥料として運び入れ、収穫した作物（野菜が中心）を出荷する近郊農業が中心となりました。太平洋戦争後は、都心に近いことから住宅（特に団地）開発が進み、東京のベッドタウンとして発展しました。

以下に保谷市の歴史を年表形式でまとめます。

1868年（明治元年）：武蔵国新倉郡広沢庄野方領から品川県となる
1872年（明治5年）：入間県に移る
1873年（明治6年）：熊谷県に移る
1876年（明治9年）：埼玉県に移る
1889年（明治22年）4月1日：町村制施行に伴い、埼玉県新座郡上保谷村・下保谷村・上保谷新田の区域を以て保谷村が成立
1896年（明治29年）3月29日：新座郡が北足立郡へ編入され、同郡の所属となる
1907年（明治40年）4月1日：埼玉県北足立郡より東京府北多摩郡に移る
1940年（昭和15年）：町制施行して保谷町となる
1943年（昭和18年）7月1日：東京都制施行に伴い、東京都の所属となる
1967年（昭和42年）1月1日：市制施行して保谷市となる（東京で17番目。田無市、国立[[市]]と同日）
2001年（平成13年）1月21日：田無市と新設合併し、西東京市が発足。同日、保谷市は廃止

行政

保谷市の歴代の首長は以下の通りです。

歴代村長
蓮見安兵衛：1889年5月23日 - 1889年6月25日
保谷半六：1889年7月8日 - 1908年3月25日
平井週作：1908年4月7日 - 1912年3月28日
都築岩吉：1915年6月28日 - 1923年7月9日
平井忠男：1923年7月17日 - 1935年7月16日
本橋安太郎：1935年7月17日 - 1940年
歴代町長
本橋安太郎：1940年 - 1942年12月28日
相田文蔵：1943年1月7日 - 1946年11月25日
山本一司：1947年4月5日 - 1949年7月8日
保谷泰三：1949年9月5日 - 1952年5月1日（死去）
相田文蔵：1952年6月10日 - 1953年4月30日
山本浅雄：1953年5月24日 - 1957年5月23日
原田彰俊：1957年5月24日 - 1966年12月31日
歴代市長
原田彰俊：1967年1月1日-1979年1月13日
根岸武雄：1979年1月14日-1991年1月13日
宇田川敬雄：1991年1月14日-2001年1月20日

交通

保谷市内には、以下の鉄道駅とバス路線があります。

鉄道
西武鉄道
池袋線：保谷駅、ひばりヶ丘駅
新宿線：東伏見駅、西武柳沢駅
バス
路線バス
西武バス（上石神井営業所、滝山営業所、滝山営業所西原車庫管轄）
関東バス（武蔵野営業所管轄）
都営バス（梅70系統：青梅車庫 - 柳沢駅前、過去には阿佐ケ谷駅まで運行）

コミュニティバス
保谷市コミュニティバス「キャンバス (Can Bus)」：1996年運行開始。西武バスに委託し、2002年に西東京市「はなバス」として再編。

姉妹都[[市]]・提携都市

保谷市は、福島県南会津郡下郷町と姉妹都[[市]]提携を結んでいました（1980年4月29日）。

参考文献

『日本の歴代市長 : 市制施行百年の歩み』 1巻、歴代知事編纂会、1983年1月。
西東京市 (2001年5月). “田無市・保谷市合併の記録” (PDF). 2022年5月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年4月10日閲覧。

関連項目

東京都の廃止市町村一覧

外部リンク

年表（保谷版） - 西東京市公式サイト
年表（田無版） - 西東京市公式サイト
西東京市合併10年のあゆみ　田無市・保谷市合併の記録 (PDF) - 西東京市公式サイト
保谷市 - アーカイブサイト
* 「田無・保谷」ガイド

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