1985年ドイツグランプリ

1985年ドイツグランプリ：アルボレートが優勝、波乱のレース展開

1985年8月4日、ドイツ・ニュルブルクリンクで、F1世界選手権第9戦、1985年ドイツグランプリが開催されました。このレースは、いくつかの要因が絡み合い、記憶に残る、そして波乱に満ちた展開となりました。

チーム体制の変化と技術革新

まず注目すべきは、ティレルチームのドライバー交代です。マーティン・ブランドルとステファン・ベロフがマシンを入れ替え、ベロフがルノーエンジン搭載車、ブランドルがDFVエンジン搭載車に乗り換えました。この変更がレース結果にどう影響したのかは、後述します。

また、このレースで大きな話題となったのは、ルノーのフランソワ・エスノーのマシンにF1世界選手権で初めて車載カメラが搭載されたことです。これは、レースの臨場感を高めるだけでなく、技術革新の面でも大きな一歩となりました。予選では23位と低迷しましたが、決勝進出を果たしました。

予選：雨とサプライズ

予選では、初日のドライコンディションでトールマンのテオ・ファビがトップタイムを記録しました。しかし、2日目の予選は雨に見舞われ、セッションは中止となりました。そのため、ファビの初日のタイムがそのままポールポジションとなり、ファビ自身、トールマンチーム、そしてハートエンジンにとっても初の快挙となりました。

エスノーのカメラカーは予選23位で通過しましたが、決勝への出場が認められ、これに伴い決勝出走台数が27台に増加しました。これは、各チームの合意により決定されました。

決勝：予想外の展開とアルボレートの勝利

決勝レースは、スタート直後から波乱の連続でした。ポールポジションのファビは、グリッド上でマシンがわずかに動いたためスタートに遅れをとりました。さらに、2番手スタートのステファン・ヨハンソンは1コーナーで接触し、タイヤをパンクさせて最後尾まで順位を落としました。

序盤はケケ・ロズベルグとアイルトン・セナがトップ争いを展開し、ミケーレ・アルボレートが3番手を走行していました。セナはロズベルグをオーバーテイクしてトップに立ちましたが、マシントラブルによりリタイアを喫しました。ロズベルグはスピンし、その間にアルボレートとアラン・プロストがトップに躍り出ました。

その後、アルボレートはプロストを寄せ付けず、終始安定した走りでレースを制し、F1通算5勝目を挙げました。一方、プロストは2位でフィニッシュ、アルボレートの勝利を祝いました。

まとめ：技術革新と波乱のレース

1985年ドイツグランプリは、F1初となる車載カメラの導入や、予想外の予選結果、そして決勝での数々のアクシデントと、様々な要素が絡み合った、記憶に残るレースとなりました。アルボレートの勝利は、彼の安定したドライビングと、チームの戦略が功を奏した結果と言えるでしょう。このレースは、F1の歴史において、技術革新とドラマチックなレース展開が共存した、象徴的なレースの一つとして語り継がれることでしょう。

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