1986 FNS歌謡祭

1986 FNS歌謡祭：中森明菜が『DESIRE -情熱-』で栄冠を掴む

1986年12月16日、華やかなステージが繰り広げられた日本武道館。第15回FNS歌謡祭『決定!FNS歌謡祭'86グランプリ』が、フジテレビ系列で生放送されました。本年は予選が廃止され、ノミネート発表からグランプリ決定までを3時間に凝縮した、熱気あふれる放送となりました。その結果、『なるほど!ザ・ワールド』は休止せざるを得ませんでした。

今大会の最大の見どころは、何と言ってもグランプリの発表でしょう。栄えあるグランプリ（大賞）に輝いたのは、中森明菜の『DESIRE -情熱-』でした。これは、中森明菜にとって第5回メガロポリス歌謡祭ポップスグランプリ、第12回日本テレビ音楽祭、'86全日本歌謡音楽祭ゴールデングランプリ、第17回日本歌謡大賞に続く快挙であり、最優秀ヒット賞とのダブル受賞という輝かしい結果となりました。2年連続2度目の受賞という快挙を達成したのです。

各賞のプレゼンターも豪華な顔ぶれでした。優秀新人賞には和由布子、最優秀新人賞には佐々木信也、最優秀作詞・作曲・編曲賞には小川知子、特別賞には幸田シャーミン、優秀歌謡音楽賞には古舘伊知郎、最優秀歌唱賞には愛川欽也、そしてグランプリには寺島純子がプレゼンターとして参加しました。これらの司会者やキャスター陣は、フジテレビの様々な番組で活躍していた方々です。

放送に先駆け、12月2日には「栄光のFNS歌謡祭15回記念特集」と題し、過去14回の名場面を振り返る特別番組も放送されました。長きに渡り愛されてきた番組の歴史を改めて確認できる貴重な機会となりました。しかし、この1986年の放送をもって、テレビ山口でのFNS歌謡祭の放送は終了しました。翌1987年9月、テレビ山口がフジテレビ系列から脱退しTBS系列へ移行したため、『火曜ワイドスペシャル』枠での生放送が不可能になったことがその理由です。

今大会の優秀新人賞は、大激戦の末6組が選出。優秀歌謡音楽賞にはとんねるずがノミネートされましたが辞退したため、12組がグランプリと最優秀歌唱賞を競い合いました。最優秀ヒット賞は、シングル、CD、LP、カセットテープ、ビデオカセットの5部門で審査され、総合評価で受賞者が決定されました。

また、1977年から10年間女性司会を務めた芳村真理は、この回をもって勇退。次回からは3年間女性司会が不在となり、露木茂アナウンサーと古舘伊知郎の男性2名体制へと変更されました。同時に、1977年からプロデューサーを務めた疋田拓も人事異動のため、この回が最後の担当となりました。

司会は芳村真理と露木茂アナウンサーが務め、リポーターには筒井櫻子、向坂樹興、三宅正治が起用されました。番組を彩る様々な役割を担ったスタッフたちの貢献も、この素晴らしい番組を支えた大きな要素でしょう。

受賞者一覧を見てみると、グランプリの中森明菜を始め、小林旭、少年隊、五木ひろしなど、そうそうたる面々が名を連ねています。それぞれの受賞者と楽曲は、当時の音楽シーンを象徴する存在と言えるでしょう。

番組の制作には、数多くのスタッフが関わっていました。構成、音楽、美術、技術、演出など、多岐にわたる専門スタッフによって、視聴者に最高のエンターテインメントを提供しようと努力が凝らされていました。

この1986年のFNS歌謡祭は、番組の歴史における大きな転換期であり、同時に、日本の音楽史に刻まれた重要なイベントであったと言えるでしょう。番組の盛況ぶり、そしてその後に続く変化は、日本の音楽シーンとテレビ番組制作の歴史を語る上で、欠かすことのできない要素の一つなのです。

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