1986年の映画

1986年の映画業界の動向

1986年は、映画界にとって多くの注目すべき出来事があった年でした。特に日本国内での映画活動や国際映画祭での成功が際立っています。

世界的状況

まず世界の映画シーンから見ていきましょう。2月25日、ベルリン国際映画祭では、篠田正浩監督の『鑓の権三』が銀熊賞を受賞し、国際的な評価を得ました。また、2月28日には著名な黒澤明監督がイタリア共和国からの最高位勲章、グランデ・クローチを授与され、彼の影響力はさらに強固なものとなりました。

3月には、アカデミー賞の授賞式が行われ、ワダエミプロデュースの『乱』がデザイン賞を受賞し、注目を集めました。この年のアカデミー賞では『プラトーン』が作品賞を獲得し、その名は映画の歴史に刻まれることとなります。

8月には香港で『子猫物語』が大ヒットし、同時に『南極物語』を抜いて初日興収の新記録を樹立しました。この映画の成功は、日本映画にとっても重要な出来事です。

日本国内の動向

日本国内に目を向けると、1月には東宝が63年度の映画配収138億4100万円を記録し、新たな国内記録を達成しました。市場の成長が伺えます。そして、3月には東京都内で新たに映画の文化を育てるための施策が練られ、文化庁からの賞も新たに設立されました。

4月には大映京都撮影所の閉鎖と共に、映連と映団連が新風営法に対して自主規制を徹底する方針を打ち出すなど、業界全体の規制や取り組みの変化が見られました。この年の映画界は新たな試みが続々と展開され、国際交流や字幕付上映の試みも行われました。

大ヒット作品

特に『子猫物語』は東宝が公開し、公開からわずか2日で興行収入記録を更新するなど、勢いのある作品となりました。加えて、11月には『極道の妻たち』がヒットし、観客からの熱烈な支持を受けることとなります。

また、家庭用ビデオテープレコーダの普及率が33.5%に達し、自宅での映画観賞が一般的になるなど、新しい映画鑑賞のスタイルが確立された年でもありました。

映画料金と興行収入

1986年の入場料金は一般的に1500円で、入場者数は1億6076万人に達し、興行収入は1794億2800万円となりました。これもまた、日本の映画産業の健全な発展を示す数字です。

受賞歴

国際的には多くの映画が受賞し、米国のアカデミー賞では『プラトーン』が作品賞を受賞するなどの成果がありました。日本国内でも『火宅の人』が最優秀作品賞を獲得し、その存在感を示しました。

まとめ

1986年は映画界にとって多様な変化が生じた年であり、国内外で数多くの賞を受賞した作品や、興行収入の達成がありました。新しい媒体での映画鑑賞や、国際的な評価が高まったことで、映画の魅力がますます広がったことが伺える年でした。次の年以降のさらなる発展を促す基盤となった一年であったと言えるでしょう。

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