1986年オーストラリアグランプリ

1986年オーストラリアグランプリ：ドラマと栄光の最終決戦

1986年F1世界選手権最終戦、オーストラリアグランプリは、10月26日、オーストラリアのアデレード市街地コースで開催されました。このレースは、タイトル争いが白熱したシーズンを締めくくる、記憶に残る一戦となりました。

熾烈なタイトル争い

メキシコGP終了時点でのランキングは、首位に70ポイントのナイジェル・マンセル、2位に64ポイントのアラン・プロスト、3位に63ポイントのネルソン・ピケと、僅差のトップ3でした。ポイントは、レース結果によって変動する複雑なシステムが適用されていました。プロストとピケがチャンピオンになるには、自身は優勝し、かつマンセルが4位以下になる必要がありました。一方、マンセルは3位以上に入れば、他のドライバーの結果に関わらずタイトルを獲得できるという、有利な立場にありました。

予選：マンセルのポールポジション

金曜日の予選は雨に見舞われ、タイムアタックは土曜日に集中しました。マンセルがトップタイムを記録し、シーズン2度目のポールポジションを獲得しました。ライバルであるピケは2位、プロストは4位となりました。

決勝：予測不能の展開

スタートでマンセルは出遅れ、セナとピケに抜かされ4位に後退。ロズベルグにも抜かれ、序盤は後方集団に沈みました。しかし、ロズベルグがトップを快走する中、プロストは着実に順位を上げ、ピケのスピンに乗じて2位に浮上。マクラーレンが1-2体制を築き、勝利への道を歩み始めました。

レース中盤、プロストはベルガーとの接触でパンクし、ピットインを余儀なくされました。レース前にグッドイヤーからタイヤ交換が推奨されていましたが、プロストのタイヤを確認した彼らは交換の必要がないと判断を変えていました。しかし、このピットインは、後々の展開に影響を与えることとなります。

63周目、ロズベルグがタイヤトラブルでリタイア。タイトル争いの3人が上位を占める展開となりました。ウィリアムズが1-2体制となり、しかしその直後、マンセルもリアタイヤバーストというアクシデントに見舞われリタイア。ウィリアムズチームは、グッドイヤーのアドバイスに従い、ピケをピットに呼び寄せ、タイヤ交換を行いました。

残り17周、トップに立ったプロストでしたが、燃費に不安を抱えていました。彼は燃料が不足しているにもかかわらず、優勝への強い意志でマシンを限界までプッシュし続けました。激しいピケの猛追をかわし、見事優勝。2年連続のドライバーズタイトルを獲得しました。ピケは最終周にファステストラップを記録し、前年の記録を3秒も更新しました。

プロストの通算勝利数は25となり、ニキ・ラウダの記録に並びました。このレースは、ドライバーたちの技術、戦略、そして運が複雑に絡み合った、まさにドラマチックなレースでした。

その他の話題

このレースでは、ミナルディチームが日本製のエンケイアルミホイールを採用開始しました。F1ホイールはマグネシウム製が主流になりつつありましたが、エンケイはアルミとマグネシウムディスクによる3ピース構造で軽量化を実現しました。

1986年オーストラリアグランプリは、タイトル争いの激しさ、予想外の展開、そして各チームの技術的挑戦など、F1の歴史に刻まれた、記憶に残るレースとなりました。

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