1990年の近鉄バファローズ

1990年の近鉄バファローズのシーズン振り返り

1990年の近鉄バファローズは、仰木彬が監督を務める3年目に当たるシーズンであり、前年に日本一を逃した悔しさを胸に、さらなる勝利を目指してスタートしました。この一年間は、選手たちの活躍や困難な状況が交錯しながら、チームとしての成長と挑戦の道のりを描いていました。

新たな戦力の獲得

オフシーズンでは、球団が力を入れて選手の補強に取り組みました。社会人野球No.1のピッチャー、野茂英雄を交渉権で獲得したほか、プリンスホテル出身の石井浩郎もドラフト3位で迎え入れることに成功。これにより、チームの戦力が一気に強化され、彼らの加入が期待されました。

開幕からの厳しい滑り出し

しかし、シーズンが始まると、エースの阿波野秀幸が開幕戦で大きく打ち込まれたことから、チームは思わぬ出足の悪さに直面しました。続く試合ではなんと9連敗を喫し、チームは早速大きな傷を負いました。期待された野茂もローテーション入りを果たすものの、阿波野や2番手の山崎慎太郎が期待に応えられず、4月を6勝10敗で終える最悪の状況になりました。

明るい兆しと反撃の始まり

それでも、6月になると状況は変わり始めました。復帰した石井が一軍に合流し、野茂の活躍が続く中で、チームは少しずつ反撃のための足場を築いていきました。6月の成績は12勝9敗と勝ち越し、7月には16勝5敗と大きく借金を返済。オリックスや日本ハムとのAクラス争いが繰り広げられる中、西武には離されながらも、3位でシーズンを終える結果となりました。

投手陣と打撃陣の状況

今シーズン、投手陣はルーキーの野茂が最多勝に輝く一方で、阿波野や山崎の成績が低下し、小野和義と加藤哲郎も故障に苦しむ厳しい状況でした。この影響で、全体のチーム防御率は4.34に低下し、前年からの改善が見られませんでした。

一方、打撃陣は前年の優勝メンバーであるラルフ・ブライアントと新加入のジム・トレーバーが中心に活躍しました。リーグトップの打率と本塁打数を記録しましたが、ブライアントは相手チームにマークされ、本塁打数が減少しました。その中で、石井も22本を放つなど、成長を見せ仰木監督の期待に応えました。

特徴的な出来事

シーズン中にはいくつかの印象的な出来事もありました。特に注目すべきは、4月22日に大石大二郎が西武戦で100本塁打を達成したことや、新人の野茂英雄が同じく4月29日に1試合で17奪三振を記録したことです。6月にはブライアントが天井にボールを当てて認定ホームランを記録するなど、話題を提供しました。

結果

今シーズンを通じて、近鉄バファローズは困難な状況を乗り越えて成長し、新しいスター選手の登場がありました。シーズンの最後には、沢村賞に野茂が選ばれるなど、個々の選手のパフォーマンスは光を見ましたが、チームとしてのさらなる飛躍が期待される年でもありました。次なるシーズンへの期待がより一層高まる中で、このシーズンの経験を活かしていくことが求められました。

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