1990年ドイツ連邦議会選挙

1990年ドイツ連邦議会選挙：統一ドイツの新たな出発

1990年12月2日、東西ドイツ統一という歴史的転換期を経て、ドイツ連邦共和国で連邦議会選挙（第12期）が実施されました。ベルリンの壁崩壊から僅か1年足らず、東西ドイツの統合が実現した直後に行われたこの選挙は、統一後のドイツの政治的未来を決定付ける重要な選挙となりました。

選挙の背景

1989年11月のベルリンの壁崩壊は、東西ドイツ統一への道を大きく開きました。そして、翌1990年10月3日、東西ドイツは正式に再統一を果たしました。この歴史的な出来事を受け、新たなドイツ連邦共和国の議会を構成する議員を選出するため、この選挙が実施されることとなりました。選挙前、ドイツはヘルムート・コール首相率いる第3次コール内閣（キリスト教民主同盟・キリスト教社会同盟、自由民主党）による保守連合政権が成立していました。

選挙制度と選挙活動

選挙制度は小選挙区比例代表併用制が採用されました。全体議席数は656議席。第2投票（政党への投票）の得票率によって比例配分が決定されるものの、少数政党乱立を防ぐため、有効投票の5%以上を獲得、または第1投票（選挙区候補者への投票）で3人以上が当選する政党のみに比例配分が適用されました。東西ドイツ統一直後という特殊な状況を考慮し、この「5%・3議席条項」は東西ドイツ地域で個別に適用されるという特例措置がとられました。選挙区議席が比例配分議席を上回った場合は、超過議席が生じる可能性がありました。

投票方法は[秘密投票]]、単記投票、記号式、2票制で行われました。選挙権・被選挙権は満18歳以上のドイツ連邦共和国国民に与えられました。有権者数は60,436,560名にのぼりました。選挙活動においては、キリスト教社会同盟]は[[バイエルン州のみで活動し、姉妹政党であるキリスト教民主同盟(CDU)とは選挙活動において競合しませんでした。

選挙結果とその後

選挙の結果、コール首相率いる中道保守連合（CDU/CSUとFDP）が圧勝しました。急速な東西ドイツ統合を主張した彼らの政策が国民の支持を集め、大幅な議席増加につながりました。対照的に、社会民主党(SPD)は33.7%の得票率にとどまり大敗。党首のオスカー・ラフォンテーヌは辞任に追い込まれました。

東ドイツ地域では、社会民主党が11.1%の得票率を獲得し議席を確保した一方、東西ドイツ統一に反対の立場をとった西ドイツの緑の党は3.8%（西ドイツ地域では4.9%）の得票率に終わり、議席を失いました。東ドイツ地域では、市民運動勢力が結成した同盟90/東ドイツ緑の党が6.2%を獲得し議席を確保しました。

この選挙の結果、ヘルムート・コール首相は第4次コール内閣を樹立し、統一ドイツの政治を主導することとなります。この選挙は、統一ドイツにおける新たな政治秩序の確立、そして東西ドイツ統合の進展における重要な節目となりました。選挙の結果は、東西ドイツ間の政治的・経済的な格差、そして統一プロセスにおける課題を浮き彫りにしました。続く年月のドイツの政治は、この選挙結果を背景に、統一後の社会統合、経済発展、そしてヨーロッパにおけるドイツの役割といった重要な課題に取り組んでいくこととなります。

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