1991年アジア野球選手権大会

1991年アジア野球選手権大会

1991年、中国の首都である北京と、港湾都市として知られる天津を舞台に、アジア地域の野球強豪国が一堂に会した選手権大会が開催されました。この第16回を迎える大会は、1991年9月16日から22日までの約一週間にわたり熱戦が繰り広げられました。

この大会は、単なるアジア地域の覇権を争う場にとどまらず、国際的な野球界において極めて重要な位置づけがなされていました。それは、翌年の1992年にスペインで開催されるバルセロナオリンピックにおいて、野球が初めて正式競技として採用されることになっており、本大会はそのアジア地区予選を兼ねていたためです。この予選を突破し、上位2カ国に入ることが、野球日本代表を含む各国チームにとって最大の目標であり、オリンピック出場という栄誉への切符をかけた戦いとなりました。

大会には、開催国である中華人民共和国をはじめ、日本のほか、韓国、チャイニーズタイペイ（台湾）、オーストラリア、フィリピン、グアムといったアジア・オセアニア地域の野球強豪国、またはその発展を目指す国々が参加しました。当初参加を予定していた北朝鮮は辞退し、計7カ国での開催となりました。

大会は参加国をグループ分けしての予選リーグから始まり、その後、上位チームによる決勝リーグへと進む形式が採用されました。各国は予選を勝ち抜くため、そしてオリンピック出場権がかかる決勝リーグ進出を目指して、総力を挙げて戦いに臨みました。

日本代表チームは、当時社会人野球を中心に編成されたアマチュア最強チームであり、バルセロナオリンピックでの金メダル獲得を目標としていました。この大会は、その目標達成に向けた最初の、そして最も重要な関門の一つでした。日本代表チームを率いたのは、山中正竹監督です。チーム構成は、将来のプロ野球界を担うことになる逸材や、社会人野球で長く活躍する実力者など、アマチュア球界の精鋭が集められました。

日本代表選手一覧

当時の日本代表の主なメンバーは以下の通りです。

監督：山中 正竹
投手：渡部 勝美、新谷 博、杉浦 正則、西山 一宇、若田部 健一、小桧山 雅仁
捕手：高見 泰範、三輪 隆
内野手：丹波 健二、四方田 勇一、西 正文、大島 公一、若林 重喜、十河 章浩、小島 啓民
* 外野手：坂口 裕之、佐藤 真一、中本 浩、川畑 伸一郎、町田 公二郎

これらの選手たちは、それぞれのポジションでチームを支え、オリンピック出場権獲得という重圧の中でプレーしました。バルセロナオリンピックへの道は、この北京・天津での戦いから始まりました。

大会の詳細は多岐にわたりますが、このアジア野球選手権大会が、その後の日本の野球、特に国際大会における立ち位置を考える上で、重要な一歩となったことは間違いありません。翌年のバルセロナオリンピック野球競技へと繋がる、記憶に残る大会でした。

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