1994年の航空

1994年の航空界：技術進歩、インフラ整備、そして事故

1994年は、航空分野において技術開発、インフラ整備が進む一方で、複数の悲劇的な事故も発生した多様な一年でした。新型機の登場や特筆すべき飛行が記録され、航空産業の構造変化も見られたこの年は、その後の航空界に様々な影響を与えることになります。

技術開発と新型機

特筆すべき技術開発としては、3月7日に内藤晃氏が設計・製作した人力ヘリコプター「YURI-I」が、日本航空協会の公式試験で高さ20cm、滞空時間19.46秒の飛行に成功しました。

新型機の開発も進み、ヨーロッパ共同開発の戦闘機「ユーロファイター2000」が3月27日に初飛行。商業輸送機では、ボーイング社の「ボーイング777-200」が6月12日に初の試験飛行を行い、長距離輸送機の新たな主力候補となりました。特殊な用途では、エアバス社の大型貨物輸送機「エアバスA300-600ST ベルーガ」が9月14日に初飛行しました。

新しい空の玄関口

日本の航空インフラにとって重要な出来事として、9月4日に関西国際空港が開港しました。この海上空港は、24時間運用可能な国際拠点空港として運用を開始しました。

発生した主な事故

1994年には複数の痛ましい航空事故が発生しています。4月26日には、名古屋空港で中華航空140便が着陸時に事故を起こし、264名の犠牲者を出しました。6月6日には、中国で中国西北航空2303便（ツポレフTu-154M）が西安を離陸直後に墜落し、160名が死亡しました。

軍用機では、6月2日にイギリス空軍のチヌーク・ヘリコプターがスコットランドで墜落し、29名が死亡。また、4月14日にはイラク上空でアメリカ空軍のF-15がアメリカ陸軍のUH-60ヘリコプター2機を誤って撃墜する事件が起こりました。セルビア上空では、4月16日にイギリス海軍のシーハリアーが地対空ミサイルで撃墜されましたが、乗員は救助されています。

その他の動き

記録的な輸送としては、6月9日にロシアのアントノフAn-124輸送機が、109トンのディーゼル機関車を空輸しました。

イギリス空軍では、8月にジョー・サルター大尉が初の女性高速ジェット機パイロットとして誕生しました。

航空産業の再編も進み、8月30日にはロッキード社とマーティン・マリエッタ社の合併が発表され、翌年のロッキード・マーティン設立につながりました。

デラボー賞

1994年のデラボー賞は、スペースシャトル「コロンビア号」の乗員チームに贈られ、この中には日本人宇宙飛行士の向井千秋氏も含まれていました。

1994年は、技術革新やインフラ整備による未来への展望が開かれた一方、多くの命が失われた事故によって安全対策の重要性が改めて認識された年であり、航空史における様々な出来事が凝縮された一年でした。

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