1994年の近鉄バファローズ

1994年の近鉄バファローズの動向

1994年の近鉄バファローズは、鈴木啓示監督にとって2年目のシーズンであり、前年は4位に終わったため、チームの立て直しが急務となりました。この年のキャンプ中に、エースピッチャーの野茂英雄がロサンゼルス・ドジャースと契約し、メジャーリーグへ移籍することが決まり、監督やファンにとって対策が求められる状況になりました。

概要

シーズンの開始に当たり、鈴木監督はチームの戦力を一新しました。まず、切り込み隊長の大石大二郎に代わって内匠政博を1番打者に配置し、三塁のレギュラーには金村義明ではなく中村紀洋を起用しました。この考え方は若手選手を主体とする新しいオーダーの試みであり、外国人選手も大幅に入れ替えました。残ったラルフ・ブライアントと新加入のリー・スティーブンスに期待がかかりました。

開幕戦は宿敵・西武との対戦。先発投手の野茂は素晴らしいピッチングで、ノーヒットノーランも視野に入るところまで好投しました。しかし、試合は終盤に西武打線に逆襲され、鈴木監督は野茂を降板させ、守護神の赤堀元之をマウンドに送りますが、これが悲劇の始まりでした。赤堀は伊東勤に逆転サヨナラ満塁本塁打を打たれ、この最悪のスタートが影響してチームはしばらくBクラスに留まります。

シーズン中の展開

しかし、7月以降は徐々に調子を上げ、チームは貯金21を記録して借金を返済、一時は優勝争いに参加します。しかしオールスター明けからエースの野茂が肩の痛みで戦列を離れることになり、チームは優勝争いから脱落。最終的にはオリックスと同率で2位に着地しました。

投手陣では、野茂の不在が大きな痛手でしたが、山崎慎太郎や高村祐が頼りにされ、勝利を重ねました。また、開幕戦での不運を乗り越え、赤堀もシーズンを通して安定した成績を残しました。中継ぎ陣も入来智や佐野慈紀が奮闘し、全体としてはリーグ4位の防御率4.24でした。

打撃陣では、4番の石井浩郎、ブライアント、スティーブンスが絶好調で、この年はチームとして169本の本塁打を打ち、得点数701はリーグ最高を記録しました。シーズンが終わると、金村義明はFAで中日へ移籍することが決まり、バファローズのいてまえ打線の世代交代が進むことになります。

最後に

1994年の近鉄バファローズは、多くのドラマと苦労の詰まったシーズンでした。監督の戦術変更や若手選手の起用が功を奏した部分もあり、チームは多くの経験を積むことになりました。次なるシーズンに向けての課題と期待の残る年となったといえるでしょう。

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