1994年沖縄県知事選挙

1994年沖縄県知事選挙

1994年11月20日、沖縄県の首長である沖縄県知事を選出するための選挙が実施されました。これが1994年沖縄県知事選挙です。この選挙は、現職の知事の4年間の任期満了に伴って行われたものです。1972年に初めて実施されて以来、これが7回目の知事選となりました。

選挙の構図と候補者

この選挙戦は、4年前に革新統一候補として当選を果たした現職の大田昌秀知事に対し、かつて県の副知事を務めた翁長助裕氏が立候補し、保守と革新が一対一で争う構図となりました。当時の日本の地方政界では、横路孝弘北海道知事や奥田八二福岡県知事といった革新系の知事が次期選挙への不出馬を表明し、相次いで引退していく流れがありました。そのような中にあって、全国的にも珍しい存在となっていた革新系の立場をとる大田知事が、引き続き県政を担うことができるのかが、この選挙の大きな焦点の一つでした。

立候補を届け出たのは以下の二名です。

大田 昌秀：現職。
翁長 助裕：元沖縄県副知事。

選挙の争点

選挙戦では、沖縄県が長年にわたって抱える課題である在日アメリカ軍基地の問題が引き続き主要な論点となりました。また、県の将来像を示す新たな振興策である第三次沖縄振興開発計画の実施のあり方や、西表石垣国立公園内に計画されていた石垣島新空港の建設問題なども、有権者の関心を集める重要な争点となりました。これらの問題を巡り、現職の大田県政の評価と今後の県の進むべき方向性が問われました。

政党の支援と「ねじれ」

この選挙における各候補者への政党の支援体制は、複雑な様相を呈しました。現職の大田知事は、国政レベルで与党となっていた日本社会党（社会党）に加え、野党である日本新党や日本共産党（共産党）、そして地域政党である沖縄社会大衆党（社大党）からの推薦を受けました。さらに、公明党も大田氏を支持しました。一方、対立候補である翁長元副知事は、国政与党の一角を占めていた自由民主党（自民党）から推薦を受けました。この年の6月に発足した村山富市内閣は、自民党と社会党による連立政権でした。したがって、この沖縄県知事選挙は、国の連立与党である自民党と社会党が、それぞれ異なる候補者を支援するという、「ねじれ」の構図を呈した選挙戦となった点が特徴的です。

選挙結果

1994年11月3日に告示され、11月20日に投開票が行われました。選挙の結果、現職の大田昌秀氏が翁長氏を大差で破り、二期目の当選を果たしました。しかし、投票率は62.54％にとどまりました。これは、これまで過去最低だった1986年の知事選挙における投票率76.11％を大きく下回るもので、記録が残る知事選挙としては過去最低の投票率を更新する結果となりました。この低い投票率が、選挙戦の盛り上がりの度合いや有権者の関心のあり方について、様々な議論を呼ぶこととなりました。

この選挙結果は、沖縄県政において革新系の流れが継続されることを示すとともに、国政与党間の連携のあり方や、有権者の政治参加の現状について、改めて問いを投げかけるものとなりました。

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出典・参考文献:
「全国唯一の革新県政存続が焦点 沖縄県知事選に2人届け出」、毎日新聞11月4日付1面（『縮刷版』117頁）
「沖縄知事「革新」大田氏が再選」、朝日新聞1994年11月21日付1面（『縮刷版』949頁）
沖縄県選挙管理委員会資料「２．投票率の推移」
朝日新聞社『「朝日新聞」縮刷版』（1994年11月号）
* 毎日新聞社『「毎日新聞」縮刷版』（1994年11月号）

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