大田昌秀

大田昌秀 - 沖縄の政治家と社会学者

大田昌秀（おおた まさひで、1925年6月12日 - 2017年6月12日）は、日本の沖縄における著名な政治家であり社会学者です。彼は沖縄県知事を2期務めたほか、社会民主党の参議院議員としても知られています。また、琉球大学の名誉教授であり、特定非営利活動法人「沖縄国際平和研究所」の理事長も務めました。

生い立ちと沖縄戦

大田昌秀は沖縄県島尻郡具志川村、現在の久米島町に生まれました。彼は教育を受けた沖縄師範学校に在学中の1945年に沖縄戦に動員され、「千早隊」として情報宣伝活動に従事しました。沖縄戦の混乱の中、多くの同級生を失い、自身も九死に一生を得る体験をしました。戦後、大田は米軍の捕虜となり、その後は沖縄文教学校や沖縄外国語学校を卒業し、日本とアメリカでの留学を経て、琉球大学の職に就くことになります。

学問と教育者としての活動

大田氏は琉球大学でメディア社会学を専門とし、ジャーナリズムに関する研究を行いました。特に沖縄戦の歴史を探求し、「白旗の少女」などの重要な資料を収集しました。1970年代から80年代にかけては、琉球大学法文学部で教授として教育に携わったほか、ハワイ大学でも教壇に立ちました。1990年には琉球大学を退職し、名誉教授となります。

政治活動

大田昌秀は1990年に沖縄県知事選挙に立候補し、現職を破って初の女性副知事を登用するなど、沖縄の政治に新しい風を吹き込みました。彼はアメリカの公文書館に資料を送る仕組みを作り、沖縄戦の記憶を継承するための取り組みを行いました。特に1995年には「平和の礎」を建立し、沖縄戦での戦没者を悼むための施設を整備しました。

米兵による少女暴行事件と基地問題

1995年には、米兵による少女暴行事件が発生しました。大田知事はこの事件を受けて、基地の問題や日米地位協定の見直しを求める市民大会に参加し、県民の権利を守るために闘いました。1998年の知事選挙では、政府の普天間基地移設案に対抗し、自らの政策をアピールしましたが、結果として次の知事選では敗北を喫しました。この選挙は沖縄の歴史における重要な出来事として語られています。

晩年と遺産

政治から引退後も、大田昌秀は沖縄国際平和研究所を設立し、戦争の記憶や平和の重要性を訴え続けました。彼の最晩年の著作『沖縄鉄血勤皇隊』は、彼が亡くなる際に出版されるなど、戦争の教訓と平和への思いを残しました。2017年6月12日、92歳で亡くなり、彼を偲ぶ多くの人々が葬儀に参列しました。

大田昌秀は「軍隊は人を守らない」という信念を持ち、沖縄の歴史と平和を次世代に伝えようとした人物でした。その言葉は今も多くの人々に受け継がれています。

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