1995年のスモーク・オン・ザ・ウォーター

『1995年のスモーク・オン・ザ・ウォーター』は、五十嵐貴久による小説で、青春三部作の最終作として位置づけられています。この物語は、1995年という激動の時代を背景に、ロックバンドを結成する主婦たちの姿を描いています。単行本は2007年10月23日に双葉社から刊行され、文庫版は2011年6月16日に同じく双葉社から発売されました。

物語の展開

物語の舞台は、阪神・淡路大震災や地下鉄サリン事件が発生した1995年。主人公は44歳の専業主婦、井口美恵子。夫と中学浪人中の息子との3人暮らしです。ひょんなことから、悪友の友坂かおりに「バンドをやろう！」と誘われ、主婦仲間とバンドを結成することになります。バンドの目標は、ディープ・パープルの名曲「スモーク・オン・ザ・ウォーター」を完璧に演奏すること。家族には内緒で猛特訓を重ねる彼女たちですが、思わぬことから息子の通う高校のチャリティーライブに出場することになります。

登場人物

フォー・リバース
井口美恵子 (G, Vo): 主人公。44歳。地味で真面目な性格だが、歌は上手い。ギターは初心者。バンドでは実質的な連絡係とリードボーカルを担当。
友坂かおり (Key): 美恵子の幼馴染で悪友。44歳。派手で自由奔放な性格。ピアノ経験があり、キーボード担当。バンド結成の発起人。
立花雪見 (Ds): 34歳。おっとりとした性格。ドラムは初心者。万引き癖があったが、美恵子に諭されて改める。
広田新子 (B, コーラス): 46歳（自称）。バンドの実質的なリーダー。元プロと自称するが実際はアマチュア。ベース担当。スパルタ指導でバンドを鍛える。

井口家の家族
井口真人: 美恵子の息子。15歳。中学浪人中。
井口幸輔: 美恵子の夫。48歳。製薬会社勤務。

コンビニ「フォー・リバース」の店員とその他
石川孝博: コンビニのアルバイト店員。高校生ながらロックバンドを組んでいる。
勝田芳彦: コンビニのオーナー。かおりに気がある。


メディア展開

この小説は、様々な形でメディア展開されました。

漫画化: 2008年、富樫じゅん作画により「Eleganceイブ」に掲載され、単行本も発売されました。
舞台化: 2009年には『輝け!主婦バンド FOUR RIVERS スモーク・オン・ザ・ウォーター2009』として舞台化。エド・はるみらがバンド演奏に挑戦しました。
映画化: 2012年には『ウタヒメ 彼女たちのスモーク・オン・ザ・ウォーター』として映画化。黒木瞳らが主演を務めました。

作品の特徴

この作品は、主婦たちの日常とバンド活動を通して、1995年という時代を生きる人々の姿を鮮やかに描いています。彼女たちの友情や家族との関係、そして音楽への情熱が、読者の心を揺さぶります。また、漫画、舞台、映画と、様々なメディアで展開されたことで、多くの人々に愛される作品となりました。

この物語は、ただの青春音楽小説にとどまらず、人生の様々な側面を描き出し、多くの人に感動を与え続けています。主婦たちの挑戦、友情、そして夢は、時代を超えて共感を呼ぶでしょう。

関連情報

書誌情報
小説（単行本）：双葉社、2007年10月23日
小説（文庫本）：双葉文庫、2011年6月16日
漫画：ALC DX、2008年9月26日
舞台
タイトル：『輝け!主婦バンド FOUR RIVERS スモーク・オン・ザ・ウォーター2009』
主演：エド・はるみ、杏子、中澤裕子、秋野暢子
映画
タイトル：『ウタヒメ 彼女たちのスモーク・オン・ザ・ウォーター』
主演：黒木瞳、木村多江、山崎静代、真矢みき
主題歌：ZARD「あの微笑みを忘れないで(2012 Movie-theme ver.)」
関連項目
ディープ・パープル
ガールズバンド

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