1998年の中日ドラゴンズ

1998年の中日ドラゴンズ

1998年の中日ドラゴンズは、監督の星野仙一が就任3年目を迎え、前年の成績を挽回するべく、本格的にシーズンに取り組んだ年でした。1997年にはナゴヤドーム元年であるにもかかわらず、最後の順位を残念ながら最下位で終えてしまったため、監督としての評価やチームの未来に不安を抱えていました。

この年のドラゴンズは、選手補強に非常に力を入れました。星野監督は、捕手の大豊泰昭と矢野輝弘を阪神にトレードし、その代わりに俊足を持つ関川浩一と久慈照嘉を獲得しました。また、韓国リーグで「韓国のイチロー」と呼ばれる李鍾範を獲得するなど、攻撃力向上を目指しました。さらに、開幕後にはサムソン・リーもチームに加わり、外国人選手の積極的な補強が行われました。

投手陣に目を向けると、山本昌、野口茂樹、門倉健の先発陣が安定した成績を残し、新人の川上憲伸もローテーション入りしました。この年は特に守備力と機動力を重視した布陣が功を奏しましたが、シーズン中に負傷者も出ました。具体的には、6月23日の阪神戦で李が右ひじに死球を受けて戦線を離脱、そのため、立浪和義がセカンドに復帰し、久慈がショートに入りました。

打撃陣では、主力打者のレオ・ゴメスと、一塁手に転向した山崎武司が順調な成績を収めました。この年からレギュラーに定着した井上一樹、外野手に転向した関川も好調でした。投手陣では、ルーキーの川上が活躍を続け、さらに山本、野口なども平常通りのパフォーマンスを維持しました。リリーフ陣では、落合英二が中継ぎの要となり、先発から落合を経由して抑えの宣銅烈へつなぐ安定した勝利のリレーを実現しました。このような努力により、チームの防御率は3.14とリーグトップを記録し、被本塁打も84本とリーグ最少に抑えることに成功しました。

シーズン終盤には横浜と熾烈な首位争いが展開されました。中日ドラゴンズは最後まで横浜をしっかりと追い続けましたが、9月以降直接対決で互角の戦績となり、特に優勝決定の直前には7連敗を喫し、10年ぶりの優勝を逃す結果となりました。それでも、新人王を受賞した川上やチーム最多の18盗塁を記録した李の活躍もあり、最終的には2位でシーズンを終えることができました。この1998年の経験は、翌年の1999年の優勝につながる重要な土台となりました。

総じて、1998年の中日ドラゴンズは、選手補強と運用、両方において良い結果を残したシーズンとなり、将来に向けた大きなステップとなりました。

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