1998年のF1世界選手権

1998年のF1世界選手権

1998年のF1世界選手権は、FIAフォーミュラ1世界選手権の第49回大会として開催され、全16戦を通じて熱い戦いが繰り広げられました。このシーズンは、1998年3月8日のオーストラリアでの開幕戦から、11月1日の日本での最終戦まで続きました。

シーズンの概要

レギュレーションの変更

シーズンの初めに、コーナリングスピードを抑えるためのレギュレーション改定が行われ、タイヤに新しい溝を追加したグルーブドタイヤが導入されました。前輪は3本、後輪は4本の溝を持ち（翌年以降、前輪も4本に変更）、これによりタイヤのグリップ力が低下しました。また、全体の幅も狭められ、マシンの外観が「F1マシンというよりF3に似ている」と評されるようになりました。排気管の位置も変更され、これがテスト段階ではトラブルを引き起こす原因となりました。

マクラーレンとフェラーリの対決

開幕戦より、マクラーレン・メルセデスが圧倒的な速さを見せつけました。特にマクラーレンMP4-13は低重心設計が功を奏し、新しいブリヂストンタイヤとの相性も抜群でした。オーストラリアGPでは他チームを周回遅れにするという圧倒的な優勝を果たしましたが、その後、ライバルのフェラーリも巻き返しを図ります。フェラーリは新しく開発したタイヤを用い、ミハエル・シューマッハが初勝利を収め、ポイント争いは熾烈なものとなりました。

特に、ミカ・ハッキネンは開幕戦において、前年の最終戦での勝利を活かし、優れたマシンで連続勝利を重ねました。彼の成績は前半戦において圧倒的であり、ポイントリードを築くことに成功しました。

ハッキネンの初タイトル獲得

シーズンの最終盤でハッキネンとシューマッハのポイント争いが白熱しました。特にルクセンブルクGPでの決勝では、ハッキネンがシューマッハを逆転し、最終戦に臨む際、彼はポイントリードの状態で挑戦します。日本GPでは、シューマッハがスタート直前にエンジン不調に見舞われ、ハッキネンはそのまま勝利を収め、初のドライバーズタイトルを獲得しました。

ジョーダンとプロストの明暗

このシーズン、ジョーダンとプロストはそれぞれ無限ホンダエンジンとプジョーエンジンを使用していました。ジョーダンは高いパフォーマンスでベルギーGPでの初優勝を含む活躍を見せ、最終的にコンストラクターズランキングでも大幅な成長を遂げました。一方、プロストはマシンのバランスを悪化させ、苦しいシーズンとなりました。

ベルギーGPの波乱

ベルギーGPでは、悪天候の中でスタート直後に多重事故が発生し、レースは中断となりました。シューマッハはその後さまざまなトラブルに見舞われ、チームメートのクルサードに対して強い不満を抱く場面もありました。結果的に、ジョーダンがワンツーフィニッシュを決め、歴史的な初勝利を手にしました。

タイヤ戦争とグッドイヤーの撤退

このシーズン中、ブリヂストンとグッドイヤーの間での熾烈なタイヤ戦争が繰り広げられ、最終的にグッドイヤーはF1からの撤退を決定しました。グッドイヤーは多くの優勝を記録するも、最終的には後進のブリヂストンに道を譲る形となりました。

1998年のF1シーズンは、マクラーレンとフェラーリの対立に加え、ハッキネンのチャンピオンシップ獲得などが特徴的な激動の年でありました。

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