1999年オーストラリア国民投票

1999年オーストラリア国民投票：君主制存続の選択

1999年11月6日、オーストラリアは国家のあり方を左右する重要な国民投票を実施しました。議題は「君主制を廃止し、共和制へ移行すべきか」。長年にわたり議論されてきたこの問題に対し、国民は最終的に現状維持、つまり君主制の存続を選びました。

背景：独立の歩みと共和制への機運

オーストラリアは英連邦王国の一国であり、イギリスとの繋がりを持ち続けています。しかし、その独立は段階的に進められてきました。1901年のオーストラリア連邦成立後も、ウェストミンスター憲章や1986年オーストラリア法を通して主権を確立してきました。

19世紀から共和制を求める声は存在していましたが、近年、オーストラリアが多民族国家へと変貌を遂げる中で、「いつまでもイギリスの女王を国家元首とする必要はない」という意見が強まりました。特に非アングロ・ケルト系の住民の間で、共和主義を支持する人が多い傾向にありました。

国民投票への道

1997年、ジョン・ハワード首相は国民憲法会議の開催を表明し、共和制モデルに関する議論が活発化しました。しかし、会議で提案されたどのモデルも過半数の支持を得られず、最終的に複数の案を取り入れた共和制モデルが国民投票にかけられることとなりました。

提案された共和制モデル

国民投票で提案された共和制モデルの主な内容は以下の通りです。

国家元首の名称は大統領（President）とし、任期は5年とする
新憲法に先住民の存在、法の下の平等、両性の平等などを明記する
国名は変更しない
イギリス連邦からの脱退はしない

投票結果とその後

投票の結果、54.87％が「No」に投票し、共和制移行は実現しませんでした。この結果は、オーストラリア国民が現状の君主制を支持する意思表示と受け止められました。

脚注

オーストラリアの共和主義（en:Republicanism in Australia）
君主制廃止論
* ルパート・マードック：熱烈な共和主義者として知られています。

関連項目

この国民投票は、オーストラリアのアイデンティティ、そしてイギリスとの関係について深く考えさせられる出来事となりました。今後も、オーストラリアの共和主義に関する議論は続いていくことでしょう。

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