英連邦王国

コモンウェルス・レルムの概要

コモンウェルス・レルム（英: Commonwealth realm）は、各国が独自の主権を持ちながら、イギリスの君主を共通の君主として戴く国家の集合体を指します。2022年時点で、これに該当するのはコモンウェルスの加盟国のうち15か国です。日本語では「英連邦王国」と表記されることも多くあります。

各国の地位と関係

コモンウェルス・レルムに属する国々はかつてイギリスの植民地でしたが、現在は独立した主権国家です。彼らはイギリスと対等な立場で関係を築いており、各国の君主の地位はそれぞれ独立しています。例えば、チャールズ3世はバハマ、カナダ、ツバルそれぞれで異なる名で君臨していますが、いずれも同一の「イギリス国王」としてではなく、それぞれの国の君主としての役割を果たしています。この国々の関係は「人的同君連合」と呼ばれ、共通の中央政府を持たない点が特徴です。

20世紀半ばまではこれらの国々を「自治領」と呼ぶことが一般的でしたが、1926年の帝国会議で主権が承認され、その後1931年のウェストミンスター憲章によって実質的に独立した国となりました。ウェストミンスター憲章の採納時には依然としてイギリスの国王への忠誠が求められていましたが、1949年のロンドン宣言によってその必要はなくなり、「コモンウェルス・レルム」という呼称が定着しました。

王位の関係と継承

現在の君主はチャールズ3世であり、彼の法定推定相続人はウィリアム皇太子です。各国の王位は独立しており、王位継承に関する法律改正は各国で行われます。2011年には、王位継承順位を改定するためのパース協定が結ばれ、2015年に新しいルールが発効しました。王位の名称は、男性の場合「King」、女性の場合は「Queen」となります。

総督の役割

君主は基本的にイギリスに居住しているため、イギリス以外のコモンウェルス・レルムでは、君主が任命した総督がその代理を務めます。総督は各国の政体に基づいてイギリス式のウェストミンスター・システムを採用し、議会を通じて君主の権限を行使します。総督の任命は各国の政府によって行われ、政治的には儀礼的な役割が大きいとされています。

市民権とその変遷

コモンウェルス市民権はかつてイギリスにて広範な権利を持っていましたが、1962年の移民法を受けて次第に権利が制限されていきました。1971年にはイギリスに祖先がいる者に対する移民制限が緩和されましたが、その後ナショナル・クライアントとしての権利はほぼ失われました。市民権には依然としてイギリス軍への入隊資格があり、特定の条件下で公務員として就職する権利もあります。

現在のコモンウェルス・レルム

現在、コモンウェルス・レルムには15の国家が存在しており、主に北アメリカ、オセアニア、ヨーロッパに点在しています。これらの国々の合計面積は1,870万平方キロメートルを超え、人口は1億5000万人以上です。各国はそれぞれ独自の文化や歴史を持ちながらも、共通の君主を有することで歴史的なつながりを維持しています。これらの国々は、独立後も様々な形でイギリスとの関係を保持しており、市民権に関する取り決めも影響を及ぼしています。

コモンウェルス・レルムの構成国には、他にも特異な地域や国々が存在し、それぞれが独自の立場を持っていますが、ここでは主要な国々に焦点を当てました。

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