2×3が六輔

2×3が六輔（にさんがろくすけ）

1992年10月から1993年12月にかけて、日本テレビ系列で毎週放送された深夜のバラエティ番組。昭和を代表する作詞家、タレントである永六輔氏が司会を務め、化粧品メーカーの資生堂が一社提供しました。全60回が制作・放送されました。

番組概要

本番組は、深夜帯の放送ながら、扇情的な要素を排し、永六輔氏独自の視点が色濃く反映された、まさに「大人のバラエティ」と呼ぶにふさわしい内容でした。番組全体を通して日本の文化をコンセプトに据え、セットデザインなどもその意匠が凝らされていました。また、一般的なメディアではあまり触れられない、特定の分野で研鑽を積む個性的な人々、例えば浪曲師のすわしんじ氏や大道芸人のマルセ太郎氏、詩人の丸山浩路氏などが紹介されることもあり、マニアックな視点が番組の特色の一つとなっていました。生放送のような臨場感を重視し、収録した映像を編集せずにそのまま放送する「撮って出し」という手法が採用されていたのも特徴です。

放送時間は、開始当初の1992年10月から1993年3月までは木曜日の25時10分から25時40分でしたが、1993年4月からは終了まで金曜日の同じ時間帯に変更されました。

出演者

番組の中心はもちろん永六輔氏ですが、アシスタントとして女優の西村知美さん、音楽担当のもりばやしみほさんが出演。また、新内節の太夫・俳人である岡本千弥氏、タレントの沢口みなみさん、そして初期には女優の鈴木杏樹さんも沢口さんと交代で出演していました。さらに、ジャズピアニストの小泉源兵衛氏や、番組後期には男性ボーカルグループのTRY-TONEも加わり、永六輔氏との掛け合いやそれぞれの特技を活かしたパフォーマンスが番組を彩りました。

番組フォーマット

番組は、永六輔氏が複数台のカメラに向かって語りかける独特の挨拶で幕を開けました。これは、様々な状況で番組を見ている視聴者それぞれに語りかけるという意図があったようです。オープニングでは、もりばやしみほ氏がその場でピアノを演奏し、番組オリジナルの曲を披露していましたが、次第に「今夜はヘンな夜」や「夜はひとりぼっち」といった固定のテーマソングが中心となり、後には西村知美さんも歌唱に加わるようになりました。

番組中盤は、その日のメインテーマに関するトークや企画が展開され、前半と後半に分かれていました。また、「旅暮らしの永さんからのプレゼントコーナー」と題し、永六輔氏が旅先で購入した土産品を視聴者にプレゼントする企画も恒例でした。特徴的だったのは、沢口みなみさん（時には鈴木杏樹さん）が登場し、番組内で資生堂の生コマーシャルを行うパートがあったことです。この生CMは、資生堂がCMスポンサーとなっていない一部の系列局では、番組本編ごとカットされるという運用も見られました。

番組のエンディングは、もりばやしみほ氏と西村知美さんの短いコメントで締めくくられましたが、曜日変更後はエンディングテーマの後、CMを挟んで永六輔氏が再び登場し、短いメッセージを送る「永六輔 夜半の一言」というコーナーが設けられました。

主なテーマと音楽

番組で取り上げられたテーマは多岐にわたり、放送曜日変更後は「今夜のおはなし」と総称されました。例えば、漫画家の高信太郎氏による「やさしいハングル講座」や、かつての人気テレビ番組「光子の窓」を再現する企画など、文化や芸能に関わるものが多く見られました。

番組を象徴するテーマソングは、オープニングの「今夜はヘンな夜」とエンディングの「夜はひとりぼっち」でした。これらの楽曲は、永六輔氏が作詞を、もりばやしみほ氏が作曲を手がけました。永六輔氏にとって、長年の音楽パートナーであった中村八大氏といずみたく氏が亡くなった後、久々に詞を提供した楽曲としても知られています。この2曲は、後に「もりばやしみほwithハイポジ」名義でCD化され、発売されています。

制作スタッフと特番

番組制作には、構成作家として永六輔氏自身が名を連ね、関根清貴氏や飯田まち子氏が途中から加わりました。美術、技術、演出など、多くのスタッフが携わり、特に永六輔氏の世界観を映像化するために、美術の山浦俊夫氏、デザインの小林俊輔氏らが重要な役割を果たしました。演出は狩野英一氏、豊島浩行氏、プロデューサーは森岡正彦氏が担当し、吉岡正敏氏がチーフプロデューサーを務めました。制作協力はビデオプロモーション、製作著作は日本テレビでした。

レギュラー放送終了後も、同じスタッフ、永六輔氏の司会、資生堂の提供という座組で、不定期に特別番組が制作されました。これらの特番には、「2×3が六輔」のレギュラー出演者も登場し、番組の世界観が引き継がれました。

もう一度検索