20世紀特急

20世紀特急（20th Century Limited）

20世紀特急は、1902年にニューヨーク・セントラル鉄道によって運行が開始され、1967年に終焉を迎えたニューヨークとシカゴを結ぶ特急列車です。この列車は、当時のアメリカの鉄道旅行における豪華さと速度の象徴とされ、特に寝台車を主体とした運行スタイルが特徴的でした。

路線と運行の特性

この特急列車は、ニューヨークからシカゴへの約1,500キロメートルの距離を結んでおり、ハドソン川沿いや五大湖の湖岸を走行する「ウォーターレベルルート」上に位置していました。ニューヨーク・セントラル鉄道が選んだこのルートは、競争相手であるペンシルバニア鉄道に比べやや距離が長かったものの、勾配が少なく高速運転が可能なため、効率的な運行が実現されました。

もともと、この路線では「エンパイヤ・ステート急行」といった多くの列車が運行されていたため、20世紀特急の登場は、競争を勝ち抜くための決定的な一手として位置付けられました。20世紀特急は、初期からニューヨークとシカゴを20時間で結ぶことが目標とされ、1950年代にディーゼル化された際には、さらなる高速化が進み、15時間30分という成績を記録しました。

豪華さと運賃

20世紀特急は、その名の通り豪華な設備が施された列車として知られていました。運行当初は全てプルマン寝台車からなる「オール・プルマン」列車であり、乗車にはプルマン運賃だけでなく、寝台料金と特別料金も必要でした。また、開放式寝台車が主流だった当時において、全個室の寝台車両が登場し、贅沢な旅行体験を提供しました。人気の高さから、特に多客期には続行運転が行われ、最大7編成が同時に運行された記録も存在します。

時代の変化と終焉

しかし、1958年には運行スタイルに変化が訪れ、座席車を導入し、料金も手頃なものに変更されました。この結果、20世紀特急はかつての豪華な列車から庶民向けの列車へと変貌を遂げました。その後、鉄道事業の経営難が影響し、1967年には運行が終了しました。

歴史的意義

20世紀特急は、アメリカの鉄道史において特異な存在であり、数々の記録が残っています。1938年には、新しい流線型車両が導入され、最高時速185キロメートルでの運行が実現されました。このような高速運行の事例は、当時すでにヨーロッパで行われていましたが、アメリカでの長距離の高速列車の例としては貴重でした。

現在、元の路線を走るアムトラックの「レイクショア特急」が受け継いでいます。そして、20世紀特急は映画『北北西に進路を取れ』やアメリカン・オリエント急行といった文化においてもその名を残し、今なお多くの人々に記憶されています。

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