2000年の大阪近鉄バファローズ

2000年の大阪近鉄バファローズ

2000年、大阪近鉄バファローズは新たなスタートを切りました。前監督の佐々木恭介氏に代わり、梨田昌孝氏が監督に就任。チームの低迷から脱却するため、様々な改革が試みられたシーズンでした。

チームはまず、投手陣の強化を目指しました。主力投手であった佐野重樹と小池秀郎を中日ドラゴンズへ放出し、交換要員として門倉健を獲得。さらに、阪神タイガースを自由契約となった山村宏樹を補強するなど、テコ入れを図りました。また、首脳陣も刷新。打撃陣の強化には特に力が入れられ、阪神OBの真弓明信氏や広島OBの正田耕三氏といった実績あるコーチが招聘されました。梨田監督自身も、小林繁投手コーチ、真弓打撃コーチとともに「男前トリオ」としてメディアに登場し、チームのイメージアップにも努めました。

しかし、新体制でのスタートは必ずしも順調ではありませんでした。期待された新戦力も機能せず、チームは開幕から波に乗れず、4月を5位で終えます。5月に入ると一時持ち直し、最下位脱出への期待も高まりましたが、夏場に入ると失速。特に7月と8月は大きく負け越し、再び最下位に沈むこととなり、最終的には2年連続のリーグ最下位でシーズンを終える結果となりました。

成績としては振るわなかったものの、このシーズンには将来への明るい兆しも見えました。二軍生活が長かった前川勝彦が先発ローテーションの一角を担うまでに成長し、新加入の山村宏樹もプロ入り後初となるオールスターゲーム出場を果たすなど、若手投手の台頭がありました。打線では、チームの看板である中村紀洋とタフィ・ローズが例年通り猛打を振るい、チームの得点源として孤軍奮闘。特に中村紀洋は、5月と9月の2度、月間MVPを獲得する活躍を見せました。また、シーズン途中で捕手に再転向した礒部公一が、規定打席には届かなかったものの打率3割を記録するなど、打撃力の健在ぶりを示しました。これらの主力や若手の活躍は、「いてまえ打線」の破壊力を改めて証明するとともに、翌年の劇的なリーグ優勝へと繋がる重要な布石となったのです。

シーズン中の出来事としては、いくつかの記憶に残るシーンがありました。開幕戦では球団史上初めて外国人投手であるボブ・ウォルコットが先発するも敗戦。5月にはタフィ・ローズがユニフォームを宿舎に忘れてバッティング投手のユニフォームを借りて出場するという珍事がありました。6月20日には、ナルシソ・エルビラが史上69人目、外国人としては8人目となるノーヒットノーランを達成する快挙もありました。また、中村紀洋は9月5日のオリックス戦でパ・リーグ新記録となる1試合6得点を記録。さらに9月7日には、3打席連続ホームランを放ち、その全てが異なる方向への「全方向ホームラン」という両リーグ初の離れ業を演じるなど、記録面でもチームを牽引しました。

結果だけを見れば厳しいシーズンでしたが、梨田新体制の下でチームの方向性が模索され、若手の成長や主力の奮起が見られた2000年。この一年で得られた経験と手応えが、翌年の歓喜へと繋がっていくことになります。

（チーム成績、個人成績、表彰選手、ドラフト指名選手などの詳細は割愛）

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