2000年ドイツグランプリ

2000年ドイツグランプリは、F1世界選手権第11戦として、ホッケンハイムリンクにて開催されました。予選は悪天候に見舞われ、多くのドライバーが困難な状況下で走行。特にバリチェロは電気系トラブルに見舞われ、シューマッハの予備マシンを使用する事態に。それでも18番手という結果で予選を通過しました。ポールポジションはクルサードが獲得し、フィジケラは3番手タイム、デラロサは自己最高の5番グリッドを獲得しました。一方、地元のフレンツェンはシケイン違反により自己ベストタイムを抹消され、17番手に終わりました。

決勝レースはドライコンディションからスタート。しかし、空には暗雲が立ち込め、降雨の可能性が示唆されていました。16番手グリッドのバトンはフォーメーションラップで出遅れ、最後尾からのスタートとなりました。スタート直後、ハッキネンがトップに立ち上がると、ポールポジションのクルサードとシューマッハは接触。シューマッハはリタイア、2戦連続での無得点に終わりました。

その後、マクラーレンのハッキネンとクルサードがトップを快走。一方、18番手スタートのバリチェロは2ストップ戦略を採用し、軽快なマシンで順位を上げていきます。17周目にピットストップを行い、5位でレースに復帰。フレンツェンも同様の戦略で6位まで順位を上げました。

レース中盤、予期せぬ出来事が起こります。1コーナー付近に不審者がコースに侵入。セーフティカー導入という事態に発展しました。この不審者は解雇されたメルセデス・ベンツの元従業員であることが判明しました。各車がピットストップを行う中、マクラーレン勢はリードを失い、クルサードは順位を落としました。しかし、バリチェロとフレンツェンは好位置をキープします。レース再開後、ディニスとアレジの接触事故により、再びセーフティカーが出動しました。

2度目のリスタート後、サーキット西側で雨が降り始めます。コースの一部はウェット、一部はドライという複雑な状況下で、ハッキネンとトゥルーリがレインタイヤへの交換を行う中、バリチェロはドライタイヤのまま走り続け、トップに立ちます。ハッキネンの猛追を受けながらも、バリチェロは粘り強い走りでトップを守り抜き、F1デビュー8年目、124戦目にして初優勝を飾りました。一方、フレンツェンはマシントラブルによりリタイアしました。また、最後尾スタートのバトンは4位でフィニッシュしました。

このレースは、天候、アクシデント、そして不審者侵入と、多くのドラマが詰まった忘れられない一戦となりました。バリチェロの初優勝は、長くF1界で戦ってきた彼にとって、大きな喜びであり、感動的な瞬間でした。彼の涙の表彰式は、多くのファンに忘れられない記憶として刻まれました。ファステストラップはバリチェロが記録し、ハッキネンとクルサード、そしてバリチェロがレースをリードしました。このレースは、2003年イギリスGPでのコースへの不審者侵入とバリチェロの優勝という共通点を持っています。

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