2001年のイギリスツーリングカー選手権

2001年ブリティッシュ・ツーリングカー選手権：新たな時代の幕開け

2001年のブリティッシュ・ツーリングカー選手権（BTCC）は、選手権の歴史において重要な転換期となりました。長年にわたる高コスト構造からの脱却と、シリーズ全体の活性化を目指し、大幅なルール変更とレギュレーションの見直しが行われたのです。

コスト削減とレギュレーション変更

1990年代後半、BTCCはスーパーツーリング時代の高コスト化に苦しんでいました。マニュファクチャラーにとって莫大な費用負担は持続不可能となり、多くの独立系チームが撤退を余儀なくされ、シリーズ全体の参加台数は過去最低レベルにまで減少していました。この状況を打開するため、選手権運営団体は抜本的な改革に乗り出しました。

まず、選手権の運営はTOCAからBritish Motorsport Promoters（BMP）へと移行しました。BMPは、コスト削減とレースの質向上、そしてファンにとってより魅力的なシリーズを目指し、新レギュレーションを策定しました。主な変更点としては、簡素化されたエアロダイナミクス、安価なカーボンファイバーの使用、共通部品の採用などが挙げられます。車両についても、2ドアまたは3ドア車への制限、複雑な空力パーツの禁止、ブレーキ、ホイール、ギアボックス、デフなどの標準部品化などが盛り込まれました。当初は前輪駆動車のみが認められていましたが、後に後輪駆動車も許可されるようになりました。

新しいクラス分けとレースフォーマット

2001年シーズンでは、車両が「BTC-T（ツーリングクラス）」と「BTC-P（プロダクションクラス）」の2クラスに分けられました。BTC-Tは新レギュレーションに適合したツーリングカー、BTC-Pは従来のスーパー・プロダクションベースの車両が参戦するクラスです。

レースフォーマットも変更され、週末に3レースが開催されるようになりました。2つのスプリントレース（BTC-TとBTC-Pそれぞれ）と、両クラスが混走するフィーチャーレースです。BTC-Tクラスは、前シーズンまでと同様にタイヤ交換義務が課せられましたが、BTC-Pクラスには義務はありませんでした。このフォーマットは、BTC-Pチームが選手権で上位を争えるように、そしてBTC-Tクラスの影に隠れないように配慮したものです。ただし、オープニングラウンドでのBTC-Tクラスの参加台数が少なかったため、シーズン後半はスプリントレースを組み合わせた異なるフォーマットを採用しました。BTC-Pチームが総合優勝を狙うためには、BTC-Tチームより周回数を1周少なく走る必要がありました。この「亀と兎」のようなレース展開は、シーズンを通して大きな見どころとなりました。

両クラスには独自のポイントシステムが導入されましたが、これはカジュアルなファンにとっては混乱を招き、2002年には廃止されました。

チームとドライバーの変更

新レギュレーションは、各マニュファクチャラーに異なる影響を与えました。フォードはBTCCから撤退しましたが、ホンダは新レギュレーションに対応した車両開発に1年を費やしました。ボクスホールはすぐに新車の開発に着手し、トリプルエイト・レーシングが開発・運用するアストラクーペを投入しました。プジョーはヴィク・リー・レーシングの手によるプジョー406クーペで復帰し、MGはウエスト・サリー・レーシングが開発したZSを投入しました。その他、多くの独立系チームも新車投入に意欲的に取り組みました。

BTC-プロダクションクラスには、多くのエントリーが集まりました。ホンダ、プジョー、フォード、アルファロメオ、三菱、日産など様々なメーカーの車両が参戦し、激しい戦いを繰り広げました。

その他の変更点

このシーズンでは、シリーズのボスが交代し、ミシュランからBFグッドリッチにコントロールタイヤが変更されました。また、予選システムも従来の方式に戻されました。そして、初めてイギリス国外（アイルランドのモンデロ・パーク）でレースが開催されました。

2001年シーズンのBTCCは、コスト削減とレギュレーション変更、そして新たなチームやドライバーの台頭により、シリーズの新たな時代への転換期となったと言えるでしょう。その変革期を象徴するシーズンとして、BTCCの歴史に刻まれています。

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