2002年のインディ・レーシング・リーグ・シリーズ

2002年インディ・レーシング・リーグ・シーズン：激動のシーズンとCARTからの移行

2002年のインディ・レーシング・リーグ(IRL)シーズンは、シリーズ7年目として、いくつかの重要な出来事によって特徴づけられました。まず、チーム・ペンスキーのIRLへの本格参戦は、既存のトップチームやドライバーたちとの競争を激化させました。さらに、チップ・ガナッシ・レーシングやモー・ナン・レーシングといった強豪チームがCARTとの並行参戦を開始したことで、CARTからIRLへのドライバーやチームの移行が加速する転換期となりました。

このシーズンのハイライトは、なんと言ってもインディ500でしょう。ペンスキーのエリオ・カストロネベスとチーム・グリーンのポール・トレーシーによる息詰まる接戦は、最終ラップ直前のクラッシュによって決着しました。クラッシュとほぼ同時にトレーシーがカストロネベスを追い抜いていましたが、レースはクラッシュ時点の順位で終了したため、カストロネベスが2連覇を達成することとなります。しかし、この判定にトレーシー側は納得せず、IRLの判定に不満を募らせました。この出来事は、その後、トレーシーのチームがIRLへの転向を見送った一因となったと考えられます。

CARTからIRLへの移行の流れは、シーズン後も続き、更なる大きな変化をもたらしました。トヨタとホンダが、CARTのエンジン規定変更に反発し、2003年からのIRLへの移籍を発表したのです。CART側は規定維持を決定しましたが、2大メーカーを引き留めるには至らず、多くの有力ドライバーやチームがIRLへの移行を決断しました。

2002年シーズンは、CARTからナザレスやミシガンなどが加わり、IRL史上最多となる15戦で開催されました。また、日本人ドライバーの服部茂章と野田英樹がスポット参戦したことも注目すべき点です。一方、トヨタとホンダの参戦決定に伴い、インフィニティは撤退し、下部シリーズであるインフィニティ・プロ・シリーズ（現インディ・ライツ）へのエンジン供給にシフトしました。

ポイントランキングでは、サム・ホーニッシュJr.がペンスキー勢との激しい争いを制し、見事チャンピオンに輝きました。ポイントは、優勝から10位までが50-40-35-32-30-28-26-24-22-20点で、それ以降は1点ずつ減点され、さらに最多リードラップに2点のボーナスポイントが加算される複雑なシステムでした。

2002年シーズンは、ペンスキーの台頭、CARTからの移行、そしてインディ500での劇的な決着など、多くのドラマが凝縮された激動の年でした。このシーズンは、IRLがアメリカにおけるトップレベルのオープンホイール・レーシングシリーズとしての地位を確固たるものにした重要な転換期であったと言えるでしょう。このシーズンの出来事は、その後何年も続くIRLと、その周辺シリーズの動向に大きな影響を与えました。

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