服部茂章

服部茂章：レーシングドライバーからNASCARチーム監督へ

服部茂章（はっとり しげあき、1963年11月3日 - 2025年4月5日）は、岡山県出身のレーシングドライバーであり、引退後はNASCARのチーム監督としてその手腕を発揮しました。海外では「Shige Hattori」として広く知られています。

生い立ちと初期のキャリア

1979年、16歳でカートレースの世界に足を踏み入れた服部は、その才能を徐々に開花させていきます。1990年には、FJ1600鈴鹿シリーズでシリーズ4位に入賞し、ルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得。着実にステップアップしていきます。

1994年、フォーミュラ・トヨタエッソチャレンジメインシリーズに参戦し、全10戦中8戦でポイントを獲得。激戦を制してシリーズチャンピオンに輝きました。その後、F3などを経てアメリカへ渡り、インディ・ライツに挑戦。日本人として初めてオーバルコースでの勝利を飾るという快挙を成し遂げました。

アメリカでの挑戦

1999年、CARTに参戦。2000年からは自らのチームを設立し、IRL（インディカー・シリーズ）に参戦します。2001年には、伝統のインディ500に初挑戦。しかし、予選通過まであとわずか0.06秒という僅差で涙を飲みました。翌2002年には見事決勝進出を果たし、2003年にはA.J.フォイトから参戦しました。

2004年、NASCARのウォルトリップ・レーシングに移籍し、クラフツマン・トラック・シリーズ（現ガンダー・アウトドアーズ・トラック・シリーズ）に参戦。2005年にはアイシン・エイ・ダブリュの支援を受けてフル参戦を果たしますが、最高24位に終わり、シーズン後半は参戦が叶いませんでした。

HRE（ハットリ・レーシング・エンタープライズ）の設立と成功

2008年、服部はNASCARとは異なるストックカー団体のARCAにおいて、自らが監督を務めるチーム「ハットリ・レーシング・エンタープライズ」（HRE）を発足させます。ARCA RE/MAXシリーズの開幕戦では、日本政府とトヨタがスポンサーとなり、ボンネットに「YOUKOSO JAPAN」の文字が描かれたマシンが登場。大きな話題を呼び、人気カーランキングでは1位を獲得しました。2012年には、ブレット・モフィットがK&Nプロシリーズ・イーストでチーム初優勝を飾ります。

2013年からは、NASCAR三大シリーズであるキャンピング・ワールド・トラック・シリーズやエクスフィニティ・シリーズにスポット参戦を開始。スポンサー獲得に苦労しながらも、2017年にはトヨタやアイシングループの支援を受け、ライアン・トゥルーエクスを擁してトラックシリーズへのフル参戦を開始します。2018年、ブレット・モフィットが念願の初優勝を飾ると、シーズン6勝をマークし、最終戦で見事チャンピオンに輝きました。このタイトルは、日本人オーナーとして初の快挙として、NASCARの歴史にその名を刻みました。

服部茂章の死

2025年4月5日、服部茂章はノースカロライナ州メクレンバーグ郡で交通事故により逝去しました。61歳でした。

レース戦績（一部）

1990年：FJ1600鈴鹿シリーズ シリーズ4位
1994年：フォーミュラ･トヨタ シリーズチャンピオン
1996年：インディ･ライツ シリーズ13位
2001年：IRL シリーズ13位

服部茂章は、レーシングドライバーとしての才能はもちろん、チーム監督としての手腕を発揮し、NASCARの世界で日本人として前人未到の功績を残しました。彼の情熱と挑戦の精神は、多くの人々に感動と勇気を与え続けるでしょう。

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