2003年イラク攻撃

2003年イラク戦争：サッダーム・フセイン政権崩壊への道

2003年、アメリカ合衆国を中心とした有志連合軍によるイラク侵攻は、世界に大きな衝撃を与えました。この戦争は、湾岸戦争後の未解決の課題、9.11同時多発テロ後の国際情勢、そしてイラクにおける大量破壊兵器の疑惑が複雑に絡み合い、引き起こされたものです。本稿では、戦争の発端からサッダーム・フセイン政権の崩壊、そしてフセインの処刑に至るまでの過程を詳細に解説します。

前史：湾岸戦争後の緊張と「悪の枢軸」

1991年の湾岸戦争後も、サッダーム・フセイン政権はイラクを支配し続けました。国際社会からの制裁下に置かれながらも、フセイン政権は存続し、その後の不安定な国際情勢に影を落としました。2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件は、アメリカ合衆国に大きな衝撃を与え、テロとの戦いを掲げたジョージ・W・ブッシュ大統領は、アフガニスタン侵攻を実行します。

この後、ブッシュ大統領はイラク、イラン、北朝鮮を「悪の枢軸」と名指し批判し、イラクに対する圧力を強めていきます。特に、イラクが大量破壊兵器を保有しているという疑惑が、アメリカによるイラク攻撃の主要な理由として挙げられました。国際連合による核査察が行われましたが、大量破壊兵器は発見されませんでした。しかし、アメリカは査察結果を認めず、イギリスなどとの連携を強め、軍事行動への準備を進めました。オーストラリアやポーランドなども参戦を表明しました。

イラク侵攻と主要戦闘

2003年3月17日、アメリカはイラクに最後通牒を突きつけます。サッダーム・フセインらへの48時間以内の国外退去を要求し、拒否すれば軍事攻撃を行うと明言しました。フセインは徹底抗戦を宣言し、戦争は避けられませんでした。

3月20日、米英豪波連合軍はイラクへの侵攻を開始します。イラク軍、特に特別共和国防衛隊はこれに対抗しましたが、連合軍の圧倒的な軍事力の前になすすべもありませんでした。

主要な戦闘としては、イラク南部におけるウンム・カスルの戦い、バスラの戦い、そして首都バグダッドの戦いが挙げられます。ウンム・カスルでは特殊作戦による占領が行われ、バスラではイギリス軍が攻撃しましたが、イラク軍の組織的な抵抗は限定的でした。

4月3日、連合軍はバグダッドを包囲し、激しい戦闘の末、4月9日にバグダッドを陥落させます。イラクの大統領府や情報機関は占拠され、サッダーム・フセイン政権は事実上崩壊しました。

戦争終結とフセインの最期

5月1日、ジョージ・W・ブッシュ大統領は空母エイブラハム・リンカーン上で、大規模戦闘の終結を宣言しました。しかし、イラクにおける戦闘はその後も続き、抵抗勢力の掃討作戦が長期間にわたって行われました。

バグダッド陥落後も逃亡していたサッダーム・フセインは、2003年12月14日に米軍によって拘束されます。その後、フセインはイラク高等法廷で裁判を受け、2006年12月30日に絞首刑によって処刑されました。フセインの逮捕と処刑は、イラク戦争における一つの大きな転換点となりましたが、同時に新たな紛争の始まりを告げるものでもありました。イラク戦争は、その後のイラク情勢に長く、深い影を落とすことになります。

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