2003年ドイツグランプリ

2003年F1世界選手権第12戦、ドイツグランプリは、ホッケンハイムリンクで熱戦が繰り広げられました。このレースでは、いくつかの注目すべき出来事が発生し、観る者を魅了しました。

まず、レースウイーク前のドライバーラインナップの変更です。ジャガーはアントニオ・ピッツォニアを解雇し、ジャスティン・ウィルソンを起用。一方、ウィルソンが移籍したミナルディは、ニコラス・キエーサを迎え入れました。キエーサは1998年以来となるデンマーク人ドライバーとしてF1デビューを果たしたのです。ミナルディはさらに、ジャンマリア・ブルーニを金曜テストドライバーとして起用しました。ジョーダンもゾルト・バウムガルトナーを起用し、この二人は後に2004年ミナルディでチームメイトとなるという因縁も生まれています。

そして迎えた決勝レース。オープニングラップから衝撃的な展開が待ち受けていました。ラルフ・シューマッハ、バリチェロ、ライコネンが絡む多重クラッシュが発生。ファーマンとフレンツェンがリタイヤするだけでなく、移籍直後のウィルソンもマシントラブルによりレースを去ることになりました。

レースはその後、ファン・パブロ・モントーヤが圧倒的な速さでレースを支配。ルノー勢、フェラーリのミハエル・シューマッハ、マクラーレンのクルサードらが熾烈な2位争いを展開する展開となりました。シューマッハはコースオフしたアロンソを巧みにかわすなど、激しいバトルを繰り広げました。

レース終盤、シューマッハはヘアピンでトゥルーリを大胆なオーバーテイクで抜き去り、2位に浮上。このオーバーテイクはコースを大きくはみ出すものだったため、大きな話題となりました。クルサードもトゥルーリを追い抜き、表彰台争いに加わります。しかし、レース終盤にシューマッハのマシンにタイヤトラブルが発生。順位を大きく落とし、ルノー勢が再び3位に浮上しました。

最終的にモントーヤが圧勝し、自身初となるハットトリック（優勝、ポールポジション、ファステストラップ）を達成しました。2位にはクルサード、3位にはトゥルーリが入り、ルノー勢が表彰台を獲得。トゥルーリは1999年ヨーロッパグランプリ以来の表彰台となりました。また、トヨタの二台体制はパニスとダ・マッタが5位と6位に入賞。地元ドイツで、F1参戦開始以来初のW入賞を果たす快挙を成し遂げました。

レースは11台のみがチェッカーフラッグを受けるという、激しいサバイバルレースとなりました。ラルフ・シューマッハは事故の責任を問われ、次戦ハンガリーGPでのグリッド降格ペナルティが科せられましたが、後に撤回されています。この2003年ドイツグランプリは、多くのドラマとアクシデント、そしてドライバーたちの熱い戦いが凝縮された、記憶に残るレースとなったと言えるでしょう。

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