2004年のテレビ (日本)

2004年のテレビ業界：変革と注目の出来事

2004年の日本のテレビ界は、新たな人気番組の誕生や長寿番組の歴史的幕引き、放送技術の進化、そして報道のあり方が問われる出来事など、多岐にわたる動きが見られた一年でした。特にフジテレビが年間視聴率の「三冠王」を11年ぶりに奪還したことは、大きな話題となりました。

番組を巡る動き

この年は、現在まで続く人気シリーズのスタートが見られました。

アニメ分野：2月には朝日放送・テレビ朝日系列で『ふたりはプリキュア』が放送を開始し、後の巨大シリーズの礎を築きました。また、テレビ東京系列では『トランスフォーマー スーパーリンク』がシリーズ20周年記念作品としてスタート。長寿アニメでは、テレビ朝日系『ドラえもん』で、2005年3月放送分をもって声優陣およびスタッフの大幅な交代が発表され、大きな注目を集めました。フジテレビ系の人気アニメ『こちら葛飾区亀有公園公園前派出所』は、8年間のレギュラー放送に幕を閉じました。

報道・情報番組：長年テレビ朝日の「夜の顔」であったニュース番組『ニュースステーション』が、メインキャスター久米宏氏の降板に伴い18年半の歴史に終止符を打ちました。これに代わる新報道番組として『報道ステーション』がスタートし、初代メインキャスターに古舘伊知郎氏が就任しました。一方、TBSの『ベストタイム』やテレビ東京の『ニュースウォッチ』なども終了し、報道・情報番組の顔ぶれが一部入れ替わりました。

バラエティ・教養番組：テレビ朝日でさまぁ～ず・優香司会の『クイズプレゼンバラエティー Qさま!!』が放送開始（後にクイズ番組に転換し、現在も継続中）。毎日放送の教養紀行番組『真珠の小箱』は、1959年の開局以来45年続いた歴史に幕を下ろし、中部日本放送の長寿クイズ番組『天才クイズ』も37年2か月の放送を終えました。また、日本テレビのバラエティ番組『笑点』が放送1900回を迎えるなど、多くの長寿番組が節目を迎えました。

ドラマ分野：話題作が多く放送されました。TBS系では山田孝之・綾瀬はるか主演の『世界の中心で、愛をさけぶ』が高い評価を得てドラマアカデミー賞で多数の賞を受賞しました。また、中居正広主演の『砂の器』、妻夫木聡主演の『オレンジデイズ』も人気を博しました。フジテレビ系では木村拓哉主演の『プライド』、菅野美穂主演の『愛し君へ』、織田裕二主演の『ラストクリスマス』などが月9枠を飾りました。テレビ朝日系では米倉涼子主演の『黒革の手帖』がヒット。開局45周年記念ドラマとして放送された渡哲也主演のスペシャルドラマ『弟』は、全話20%を超える高視聴率を記録しました。連続ドラマシリーズでは、テレビ朝日の『相棒』がSeason2からSeason3へと続き、定着を見せました。

報道姿勢と事件

テレビ局の報道姿勢が問われる出来事も発生しました。TBSの番組において、オウム真理教関連のインタビューで虚偽の発言をさせたやらせが報じられ、TBSは謝罪する事態となりました。また、同局の報道番組で自閉症の療法として根拠の疑わしい治療法を紹介したとして、NPO法人から申し入れを受け、後に番組内で対処が行われました。

自然災害への対応としては、10月に発生した新潟県中越地震に際し、各局が報道特別番組を編成。特に被災した一家3人の救出作業が生中継され、多くの視聴者が見守りました。

技術と体制の進展

放送局の体制や技術面でも動きがありました。日本テレビは開局50周年を機に汐留の新社屋「日本テレビタワー」へ移転し、多くの生放送番組がハイビジョン制作となりました。テレビ東京もデジタル・アナログ統合マスターの運用を開始し、ハイビジョン放送を進めました。

また、地上デジタル放送が富山県（NHK富山、北日本放送）とNHK水戸放送局で地方局として初めて本放送を開始するなど、デジタル化への移行が進みました。TBSでは、テレビ番組制作部門3社が合併し「株式会社TBSテレビ」が発足しました。

スポーツイベントと特別番組

夏にはアテネオリンピックが開催され、各局が熱心に中継を放送しました。テーマソングには、NHKがゆずの「栄光の架橋」を起用し、感動的なシーンを彩りました。

年末年始や改編期には多くの特別番組が放送されました。シリーズ化された特番として『笑うシリーズ』（テレビ朝日）、『史上最強のメガヒット カラオケBEST100』（テレビ朝日）、『オールスター感謝祭』（TBS）、『爆笑そっくりものまね紅白歌合戦スペシャル』（フジテレビ）などがあります。また、レギュラー番組の拡大スペシャルも多数放送され、『笑っていいとも!』や『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!』（ガキ使）などが年末に長時間特番を組みました。フジテレビの年末特番『人志松本のすべらない話』が初回放送されたのもこの年です。

視聴率競争

年間視聴率争いでは、フジテレビが全日・ゴールデン・プライムタイムの三冠を、1994年から10年間首位を守り続けた日本テレビから奪還しました。これはフジテレビにとっては1993年以来の三冠達成となり、テレビ業界の勢力図に変化をもたらしました。

2004年は、視聴者の嗜好の変化や技術の進化に対応しつつ、報道の信頼性が問われる出来事も発生するなど、テレビ業界にとって多角的な側面を持った一年であったと言えるでしょう。

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