2004年サンマリノグランプリ

2004年サンマリノグランプリ：セナの記憶と激闘のレース

2004年4月25日、イタリア・イモラ・サーキットで、F1世界選手権第4戦サンマリノグランプリが開催されました。このレースは、F1レジェンドであるアイルトン・セナとローランド・ラッツェンバーガーのイモラでの事故から10年という節目の年に行われた特別なグランプリとなりました。 決勝レース直前には、セナの友人であるゲルハルト・ベルガーが、セナが1986年にドライブしたロータス98Tを走行するなど、セナへの追悼イベントが数多く行われ、場内にはセナのメモリアルアートも設置されました。

予選：バトンの鮮やかなポールポジション獲得

予選は2セッション制で行われました。1回目のセッションでは、ウィリアムズのファン・パブロ・モントーヤがトップタイムを記録。2番手にはチームメイトのラルフ・シューマッハがつけました。しかし、ザウバーのジャンカルロ・フィジケラは、セッション終了後のアウトラップでギヤボックスにトラブルが発生し、苦戦を強いられました。

2回目のセッションでは、開幕戦からエンジントラブルに悩まされていたマクラーレンのキミ・ライコネンが、排気バルブシールのトラブルに見舞われ、アタックを断念。最後尾からのスタートとなりました。また、フィジケラもギヤボックストラブルが修復できず、19番手からのスタートとなりました。

このセッションでは、ジェンソン・バトンが驚異的な走りで暫定トップに躍り出ました。ミハエル・シューマッハはセクター1と2でバトンを上回る速さを見せましたが、シケインでミスをしてしまい、バトンに及ばず2番手となりました。 ウィリアムズ勢はタイムを伸ばせず、バトンは、B・A・Rそしてホンダにとって1992年カナダGP以来のポールポジションを獲得するという快挙を達成しました。

決勝：シューマッハの4連勝、バトンの健闘

ポールポジションからスタートしたバトンは、順調なスタートを切りましたが、2番手のミハエル・シューマッハがスタートで出遅れたことで、後続からの激しいプレッシャーを受けることになります。トサコーナーではモントーヤに並ばれましたが、何とか2番手を死守しました。この時、モントーヤはミハエルのブロックによってコースアウトを余儀なくされました。

一方、4番手に順位を上げた佐藤琢磨は、フロントサスペンションのサードダンパー破損によってマシンの挙動に苦しみました。

序盤はブリヂストンタイヤの特性に苦戦していたミハエルでしたが、1回目のピットストップまでにトップを走るバトンに0.6秒差まで迫りました。バトンがピットインすると、ミハエルは最速ラップを連発してピットインし、バトンの前でコース復帰を果たしました。

この頃には、琢磨のマシンにもギヤボックストラブル(勝手に1段下のギアに変速)が発生していました。 1回目のピットストップを終えた後も、ミハエルはバトンを圧倒するペースで走り続け、差を広げていきました。2回目のピットストップ後も順位に変わりはありませんでした。

激しい5位争いを繰り広げていたフェルナンド・アロンソとラルフ・シューマッハは、51周目にトサコーナーで接触。アロンソは走り続けましたが、ラルフはサイドポンツーンを破損してスピン、順位を落としました。

残り5周で琢磨がエンジントラブルによりリタイヤ(16位完走扱い)となりました。これは、前述のギヤボックストラブルによるエンジンの負担増が原因と考えられました。

最終的に、ミハエル・シューマッハが開幕戦からの4連勝を達成。バトンは自身最高位の2位を獲得しました。また、ライコネンは8位でシーズン初入賞を果たしました。

まとめ

2004年サンマリノグランプリは、セナへの追悼ムードと、激しいレース展開が印象的なグランプリとなりました。バトンのポールポジション獲得や、シューマッハの圧倒的な勝利、そして琢磨のトラブルなど、様々なドラマが凝縮されたレースでした。このレースは、F1の歴史に深く刻まれた一戦と言えるでしょう。

もう一度検索