2007年度新司法試験漏洩問題

2007年度新司法試験漏洩問題とは

2007年度（平成19年度）に実施された新司法試験において、試験問題と類似した論点が出題されたのではないかという疑惑が持ち上がり、大きな問題となりました。この問題は、単なる出題ミスではなく、試験の公平性に関わる重大な問題として、社会的な注目を集めました。

疑惑の発覚と法務省の対応

この疑惑の中心となったのは、慶應義塾大学法科大学院の専任教授であり、同時に法務省の司法試験考査委員であった植村栄治氏です。植村教授は、自身の大学院生に対し、試験対策のための講義やメール配信、答案練習会を実施していました。この中で、試験問題と類似する論点を教えていたことが発覚し、問題となりました。2007年6月29日、法務省は、この行為を問題視し、植村教授を考査委員から解任しました。

しかし、法務省は同年8月3日、植村元考査委員の行為が試験に与えた影響について詳細な検討を行った結果、試験問題と同一または「類題」と評価できるような類似問題は全くなかったと発表しました。この発表は、試験への影響はなかったという結論を示しましたが、一部からは調査が不十分であるという批判の声も上がりました。

他の大学でも同様の問題が発覚

また、新司法試験考査委員であった大宮法科大学院大学の実務家教授2名が、2006年夏に実施した自主勉強会で、同年の新司法試験の論文試験問題と独自の採点基準を配布していたことも報道されました。この件についても法務省が事情聴取を行うなど、各法科大学院における答案練習会等での問題内容の漏洩疑惑が浮上しました。しかし、法務省による調査では、他の大学で表立った問題は確認されませんでした。

問題を受けての対策

これらの事態を受けて、法務省及び司法試験委員会は、試験の公平性を保つため、以下の対策を講じることとしました。

考査委員は実務家を中心に選任する
作問を担当する考査委員は、勤務する法科大学院での3年生及び修了生に対する指導を禁止する
* 試験終了後に、採点のみを担当する考査委員を追加で任命する

これらの対策は、試験問題の漏洩や、考査委員による不適切な指導を防止することを目的としています。

大学基準協会の指摘

さらに、2010年3月25日には、大学基準協会が慶應義塾大学の外部調査委員会の外部性が不十分であり、再発防止策も徹底されていないとして、2010年度以降も引き続き報告書の提出を求めました。また、駿河台大学、中京大学、桐蔭横浜大学の各法科大学院についても、以前に過度の司法試験対策を実施していたとして、同様に検証することとしました。

まとめ

2007年度の新司法試験漏洩問題は、試験の公平性や大学・法科大学院のあり方について、社会に大きな波紋を投げかけました。この問題を受け、法務省や大学は対策を講じることとなりましたが、その後の司法試験制度の運営においても、常に公平性と透明性が求められることとなりました。

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