2008年のチベット騒乱

2008年チベット騒乱の概要



2008年3月10日、チベット自治区ラサ市でチベット独立を求めるデモが発生し、これが暴動へと発展しました。この騒乱は、ラサ市内だけでなく、チベット民族が居住する周辺地域や海外にも広がり、大きな波紋を呼びました。

報道の混乱



中国当局による報道規制により、正確な情報収集が困難な状況でした。報道機関の立ち入りが制限され、中国政府とチベット亡命政府双方の発表や、伝聞情報に基づいた報道が中心となりました。エコノミスト誌の特派員による限定的な証言が、数少ない第三者の視点を提供しました。

ラサ市内での暴動



ラサでの暴動は、チベット青年会議（TYC）などの急進独立派が、北京五輪を前に中国政府の対応が弱まると見込み、計画的に実行したとされています。当初は平和的なデモと主張されましたが、目撃証言から計画的な暴動であったことが明らかになりました。暴徒は漢族や回族の商店を襲撃し、略奪や放火を行いました。

中国政府は武警・公安部隊を投入し、催涙ガスやゴム弾で鎮圧しました。暴動に参加した者は、後に自首を促され、多くが出頭しました。

四川省アバ州での暴動



ラサでのチベット人による回族襲撃の情報が広まると、四川省アバ州では回族住民が報復として集会を襲撃し、銃撃戦を含む衝突が発生しました。チベット亡命政府は中国軍の鎮圧による犠牲者を発表しましたが、その信憑性は確認されていません。中国政府は民族間対立の拡大を恐れ、治安部隊を派遣し事態を収束させました。

犠牲者数を巡る応酬



チベット亡命政府は多数のチベット人が虐殺されたと主張する一方、中国政府は犠牲者数を22名と発表し、両者の主張は大きく食い違いました。また、チベット青年会議のメンバーが公安局によって射殺されたとの報道もありました。混乱の中で正確な犠牲者数を把握することは困難でした。

各国の反応



台湾


台湾では、与党候補がチベットの状況を例に「一つの中国」政策を批判しましたが、選挙結果には大きな影響を与えませんでした。

アメリカ


アメリカ政府は中国の人権状況を非難し、下院議長がダライ・ラマ14世と会談しました。

日本


日本の議員連盟は中国当局を非難し、報道の自由がない状況を懸念しました。また、北京五輪聖火リレーでは抗議活動が行われました。

ロシア


ロシア政府は中国のチベット統治を支持し、欧米諸国の干渉を批判しました。

その他


その他、多くの国々が中国の対応を支持する声明を発表しました。

欧州


欧州では聖火リレーが妨害されるなど、抗議活動が活発に行われました。

インド・ネパール


インドとネパールでは、チベット難民が抗議活動を行いましたが、両国政府は中国との関係を優先し、鎮圧を行いました。

暴動の影響



中仏関係


中国国内では、フランスに対する反感が広まり、フランス企業が不買運動の標的となりました。その後、サルコジ大統領は中国に謝罪しましたが、国内からの批判も受けました。

直接対話


北京五輪開催を前に、中国政府とダライ・ラマ14世との間で対話が再開されましたが、両者の溝は深く、大きな進展は見られませんでした。

ダラムサラ


ダライ・ラマ14世の穏健な姿勢は、急進的な独立を求める亡命チベット人社会から不満を受け、指導権の再確認を迫られました。

中国チベット自治区


中国政府は、チベットにおける農奴解放を記念する日を設け、亡命政府とのプロパガンダ合戦を繰り広げました。

出典・関連項目





外部リンク



ロイター チベット特集
朝日新聞 チベット問題
日テレNEWS24 チベット問題
CCTV 暴徒の映像
ラサ市内での警戒活動

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