2010年ストックホルム爆破事件

ストックホルム爆破事件の概略

2010年12月11日、スウェーデンの首都ストックホルムで発生した自爆テロ事件は、北欧において初めての事例とされています。この事件は、繁華街に位置するドロットニングガータン通り近くの商業施設で起こり、午後4時48分にアウディ・80ステーションワゴンが爆発しました。車内にいた二人は軽傷を負ったものの、爆発の本体はわずかに離れた場所にいた一人の男が自爆したものでした。爆発が発生した日は、クリスマスセールの初日でもあったため、多くの買い物客がその付近に集まっており、混雑した街に恐怖が走りました。さらに、爆発現場はノーベル賞授賞式の会場にも近く、前日には化学賞授賞式も行われていたため、国際的にも大きな注目を集めることになりました。

捜査の経過

捜査当局は、スウェーデン外務大臣カール・ビルトの声明を受けて、爆発がテロ行為であると確信しました。ビルトは、事故により標的に到達する前に爆発が起きた可能性についても言及しています。事件の翌日には、スコットランドヤードが死亡した犯人の住居を家宅捜索し、過去の動向についての調査が行われました。これにより、テロ事件の背景や犯人の手がかりを掴む努力が続けられました。

容疑者のプロフィール

爆破事件の実行犯は、タイムール・アブデル・ワハブという28歳の男性で、イラクのバグダード生まれのイラク系スウェーデン人でした。彼は1992年にスウェーデンに移住した後、イギリスのベッドフォードシャー大学で理学療法を学び、卒業後は妻子と共にイギリスに住んでいました。しかし、彼は過激な思想に影響を受け、モスクにおいて歪んだ理念を掲げていたと言われています。事件が起こる10分ほど前には、彼が「我々の子どもたちは死につつある」と語るメッセージが流れており、事件の動機が伺える部分でもあります。

脅迫の内容

また、タイムールは、スウェーデン軍のアフガニスタン駐留や風刺画を制作した芸術家に対して、警察に向けた脅迫の電子メールを送信していました。これにより、彼の行動は単なる犯罪ではなく、特定の思想的背景を持ったテロ行為であると認識されるようになりました。

結語

この事件は、スウェーデン社会におけるセキュリティや公安問題に深刻な影響を与えました。ストックホルムでの爆破事件は、全体主義的な思想が根を下ろす危険性や、社会でのテロリズムに対抗する必要性を再確認させるものでした。戦後の北欧諸国においても、テロリズムの脅威が現実のものとなる中、今後の対策が求められています。

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