カール・ビルト

カール・ビルト：スウェーデンの政治家、外交官

カール・ビルト（Carl Bildt、1949年7月15日 - ）は、スウェーデンの政治家、外交官です。保守的自由主義政党である穏健党の党首を1986年から1999年まで務め、1991年から1994年にはスウェーデンの首相として国政を担いました。首相退任後は、ユーゴスラビアを中心としたバルカン半島問題の解決に奔走し、初代ボスニア・ヘルツェゴビナ上級代表や国際連合事務総長特別代表などの要職を歴任しました。

生い立ちと初期の経歴

ビルトは、スウェーデンのハッランド県ハルムスタッドで、古い貴族の家系に生まれました。彼の高祖父の父は、第5代スウェーデン首相のギールス・ビルトです。このような環境で育った彼は、早くから政治に関心を抱き、学生時代には中道右派の学生組織である自由穏健学生連盟の議長を務めました。1979年の総選挙で初当選を果たし、1980年代前半には野党議員として、外交問題に関する論客として注目を集め、当時のオロフ・パルメ首相に論争を挑みました。1986年には、ウルフ・アデルソンの後任として穏健党の党首に選出されました。

首相として

1991年の総選挙で社会民主労働党を下し、穏健党を中心とする中道右派4党による連立政権を樹立し、首相に就任しました。ビルト政権は、内政面では、長期にわたった社会民主労働党による高福祉高負担政策を修正し、スウェーデン経済の自由化を推進するとともに、外交面では、社会民主労働党政権に引き続き、欧州連合（EU）への加盟を目指しました。1994年6月23日にギリシャ・コルフ島で開催された欧州首脳会議で、スウェーデンのEU加盟が決定し、翌1995年にスウェーデンは正式にEUに加盟しました。

国内の自由化政策としては、教育バウチャー制の導入や、通信、エネルギー分野の市場自由化、社会福祉分野における公的企業の民営化などが実施されました。1992年11月には、スウェーデン・クローナが通貨危機に見舞われ、金融市場が混乱しましたが、社会民主労働党との協議によりクローナの切り上げが実施され、事態は一時的に収拾されました。1994年の総選挙では、穏健党は議席数を増やしたものの、連立与党全体としては議席を減らし、社会民主労働党に敗北したため、ビルト内閣は総辞職しました。1999年には穏健党党首を辞任し、後任にはボー・ルンドグレンが選ばれました。

外交官としての活動

首相辞任後、ビルトは外交分野で積極的に活動しました。特に、旧ユーゴスラビアを中心とするバルカン諸国の紛争調停に尽力し、1995年6月から欧州連合旧ユーゴスラビア特別代表、1995年11月にはデイトン和平会議の共同議長、1995年12月からボスニア紛争終結直後の1997年6月までボスニア・ヘルツェゴビナ上級代表としてボスニア和平に貢献しました。1999年から2001年までは、バルカン諸国における国連事務総長特別代表を務めました。

外務大臣として

2006年10月6日、フレドリック・ラインフェルト内閣に外務大臣として入閣しました。首相経験者であり、ラインフェルトと以前から対立関係にあったビルトの入閣は、政界内外で驚きをもって受け止められました。

外部リンク

bildt.net - 公式ホームページ
Bildt Comments - ビルトのブログ (不定期)
* 『カール ビルト』 - コトバンク

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