2011年のフジテレビ騒動

2011年フジテレビ騒動の概要

2011年、フジテレビの番組編成や報道姿勢に対する批判が、俳優の高岡蒼甫氏のTwitterでの発言を契機に表面化しました。この騒動は、単なるテレビ局への批判に留まらず、日韓関係、メディアの偏向報道、外資規制など、多岐にわたる問題を含む複雑な様相を呈しました。特に、フジテレビにおける韓流ドラマの過剰な放送と、それに伴う日本文化軽視の姿勢が、多くの視聴者の不満を招きました。

騒動の背景

フジテレビへの批判は、2002年の日韓ワールドカップの頃からインターネット上で散見されていましたが、2010年頃からその声は大きくなっていきました。2011年7月23日、俳優の高岡蒼甫氏が、フジテレビの報道姿勢が韓国寄りであるとTwitterで発言したことが、騒動の決定的な引き金となりました。

放送倫理・番組向上機構（BPO）は、フジテレビの報道姿勢について具体的な意見や勧告は出していませんが、視聴者からの意見として「朝から晩まで韓国ドラマや通販番組ばかり」という不満が寄せられていたことが公表されています。

騒動の拡大とデモ

高岡氏のツイート後、ネット上ではフジテレビへの批判が過熱し、大規模なデモも行われました。このデモは、韓国の地上波各局では報道されたものの、日本のマスコミではほとんど取り上げられませんでした。デモ参加者たちは、フジテレビの偏向報道や韓流ドラマの過剰な放送に抗議し、花王をはじめとするスポンサー企業への不買運動も呼びかけられました。

フジテレビの報道姿勢と批判

フジテレビは、平日の午後に韓国ドラマ専用の放送枠『韓流α』を設けており、他局と比較して韓国ドラマの放送時間が圧倒的に長いと批判されました。例えば、2011年7月には、フジテレビの韓国ドラマ放送時間が約38時間に達したのに対し、他局は10時間台から放送なしという状況でした。このような韓流偏重の傾向は、15年前から続いているという指摘もあります。

フジ・メディア・ホールディングスの外国人持ち株比率

フジ・メディア・ホールディングスの外国人持ち株比率が20%に近いことも問題視されました。日本の電波法では、外国人の議決権割合が5分の1（20%）を超えることを禁じていますが、議決権のない株式を含めると外国人保有比率が28%を超えていることが明らかになりました。このことが、フジテレビの報道姿勢に影響を与えているのではないかという疑念を招きました。

騒動の原因と諸説

騒動の原因については、様々な説が唱えられています。

視聴者からの要望が多い番組を放送した結果という説。
韓国ドラマは購入費用が安く、視聴率をそこそこ稼げるため、経営上の判断という説。
フジテレビがK-POPの常設公演会場に出資したり、関連会社がK-POPの権利を押さえているなど、ビジネス上の判断によるものという説。
フジ・メディア・ホールディングスの会長が韓国の高麗大学校から名誉博士号を授与されたことがきっかけという説。
冷戦時代からの歴史的な経緯により、右翼・保守陣営が韓国寄りの報道を行っているという説。

高岡蒼甫氏のツイートとその影響

高岡氏は、Twitterで「8（フジテレビ）は今マジで見ない。韓国のTV局かと思う事もしばしば」と発言し、これが騒動の大きなきっかけとなりました。この発言後、高岡氏は所属事務所を解雇され、妻との離婚も経験することになりました。一方、騒動の拡大に対しては「不買運動は勧めない」と否定的な立場を示し、後に自身の発言について配慮が足りなかったと謝罪しました。

各界からの反応

この騒動に対し、様々な立場の人々が意見を表明しました。

肯定的な意見: 片山さつき議員や田母神俊雄氏など、フジテレビの韓流偏重に批判的な意見を持つ人々が、高岡氏の意見を支持しました。中田宏氏や中山成彬氏も、高岡氏の意見に同調する発言をしました。
批判的な意見: 小田嶋隆氏や茂木健一郎氏など、騒動を批判する意見も多くありました。特に茂木氏は、「幼稚な自国文化主義」と批判し、民放は経済原則で動いており、見たくないなら見なければいいという考えを示しました。ジャーナリストの烏賀陽弘道氏は、デモを「単なるゼノフォビア（外国人嫌い）のパレード」と批判しました。また、漫画家の小林よしのり氏は、デモ参加者の階層を低所得者層と断定し、批判しました。
中立的な意見: ビートたけし氏は、フジテレビは視聴率を取るために韓流番組を放送しており、騒ぎすぎだと述べました。

海外からの反応

韓国: 韓国メディアは、高岡氏のツイートやフジテレビのデモを大きく報道しました。高岡氏の意見を批判する声がある一方で、自国で日本の番組ばかり放送されていたら問題になるだろうという意見もありました。
中国: 中国のメディアも、この騒動を報道し、日本人の韓流偏重批判を支持する声があることを伝えました。一部の中国人は、韓流に抵抗する日本の動きを支持し、中国も歴史を歪曲する韓流に反対すべきだと主張しました。

フジテレビの公式見解

2011年9月2日、フジテレビは公式ホームページで、一連の批判に対する見解を発表しました。主な内容は以下の通りです。

外国人持ち株比率は、法律を遵守している。
番組編成は、視聴者ニーズに答えるように総合的かつ客観的に判断している。
スポーツ中継での表彰式カットは、放送時間の制約によるもので、意図的なものではない。
FIFA主催の試合の表記は、FIFAの規定に準じている。

その他

花王をはじめとするスポンサー企業への不買運動が行われた。
フジテレビの番組「笑っていいとも！」で、ブータン国王夫妻の物真似が行われ、侮辱だと非難された。

まとめ

2011年のフジテレビ騒動は、テレビ局の報道姿勢、番組編成、外資規制、そして国際的な文化摩擦という、複雑な要素が絡み合った事件でした。高岡蒼甫氏のTwitter発言をきっかけに、ネットユーザーを中心に、フジテレビの韓流偏重報道に対する批判が噴出し、大規模なデモも発生しました。この騒動は、メディアの報道の自由と責任、そして多様な意見が共存する社会のあり方を考える上で、重要な示唆を与えています。また、この騒動は、インターネットの影響力の大きさと、マスメディアの報道姿勢に対する国民の不信感の高まりを浮き彫りにしました。

騒動後、フジテレビは公式見解を発表し、批判に対し一定の説明を行いましたが、この問題は、テレビ局と視聴者の関係、そしてメディアリテラシーの重要性を再認識させる契機となりました。

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