2011年アルバニア反政府デモ

2011年アルバニア反政府デモについて

2011年アルバニア反政府デモは、2011年初頭にアルバニアで発生した一連の抗議行動です。このデモは、当時のアルバニアが抱えていた政治的、経済的な問題が複雑に絡み合って発生しました。

背景

不正選挙疑惑

2009年6月に行われた総選挙で、アルバニア社会党などの野党は選挙に不正があったと主張しました。与党・アルバニア民主党の党首サリ・ベリシャは、連立政権を樹立できず、新たに統合社会主義運動と連立政権を発足させました。このことが野党を刺激し、アルバニア社会党は18か月に及ぶ抗議活動を開始しました。しかし、選挙の再集計は延期され、最終的に投票用紙は焼却処分されました。

政府による不正

2011年1月には、統合社会主義運動の党首であるイリル・メタが、政府閣僚に対して経済関連の案件で圧力をかけていたことが発覚しました。政府は建設業者との契約を破棄し、メタの意向に沿うように新しい契約を結びました。メタは水力発電所の建設に関しても自身の意向を反映させるよう求め、経済大臣は不正な利益を得ていたとされています。アルバニアの汚職率はヨーロッパで最悪レベルにあります。

失業率と貧困

アルバニアでは若年層の失業率が30%を超え、貧困も深刻な問題となっています。政府の統計では、アルバニア全体の失業率は12.8%となっています。

デモの発生と激化

2011年1月21日、アルバニアの首都ティラナで大規模な反政府デモが発生しました。野党は20万人が参加したと主張しましたが、警察やメディアは2万人程度と推定しています。デモ隊は首相府に向かい、警官隊と衝突しました。デモ隊は石や火炎瓶を投げつけ、警官隊は催涙ガスで応戦しました。

衝突は激化し、警官隊は空に向けて威嚇射撃を行いましたが、一部ではデモ隊に向けて発砲し、3人が死亡、1人が重傷を負い後に死亡しました。野党は発砲を「過剰であり正当化できない」と非難しました。

サリ・ベリシャは、デモ隊への武器使用は命じていないとしましたが、共和国防護隊による発砲があったことを認めました。

デモ後の動き

1月28日には、1月21日に死亡したデモ参加者の弔いとして、非暴力デモが計画されました。2月4日には、ティラナに加えて複数の都市で同様のデモが企画されました。野党はデモを毎週行うとしました。

クーデター疑惑

サリ・ベリシャは、1月21日のデモで3人が死亡したことについて、クーデターを誘発するためにデモ参加者によって殺害されたと主張しました。しかし、翌日には共和国防護隊の発砲による死亡を認めました。ベリシャは、クーデター計画には法や情報機関、大統領府に属する人物が関与していると主張しました。

アルバニア検察庁は、共和国防護隊の隊員に対する逮捕状を取りましたが、ベリシャは逮捕状を違法であるとして警察に逮捕しないよう命じました。

国内外の反応

与党である民主党は、デモ参加者を野党から雇われた人物であると主張しました。

ティラナにある各国の大使館は平和と平静を求めましたが、3人の死亡については言及しませんでした。ヒューマン・ライツ・ウォッチは、ベリシャが犯罪捜査に干渉すべきではないとしました。

まとめ

2011年のアルバニア反政府デモは、不正選挙疑惑、政府の汚職、高失業率、貧困などの問題が複合的に絡み合って発生しました。デモは死者を出す事態となり、アルバニアの政局は大きく混乱しました。この事件は、アルバニアが抱える構造的な問題を浮き彫りにする出来事となりました。

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