2011年イエメン騒乱

2011年イエメン騒乱

2011年イエメン騒乱は、アラブの春の一環としてイエメンで発生した大規模な反政府デモとそれに続く一連の事件を指します。この騒乱は、2011年から2012年にかけて起こり、長い間政権を維持していたアリー・アブドッラー・サーレハ大統領が、2011年12月にその権限を副大統領アブド・ラッボ・マンスール・ハーディーに移譲する結果を招きました。これにより、サーレハの36年間にわたる政治的支配に事実上の終止符が打たれました。

背景

イエメンはアラブ諸国の中でも最大の貧困国の一つであり、失業率は30%以上に達しています。国民の半数以上は、1日2ドル以下で生活しているという厳しい状況です。政府は、2010年12月に大統領職の任期を無期限に延長する見直しを進めるとともに、サーレハ自身も次期大統領を息子に引き継がせる意向があるとされ、これに対する国民の不満が高まっていました。また、イエメンは1990年まで南北に分裂しており、再度の独立を志す動きも根強く存在しました。これらの背景が、チュニジアのジャスミン革命と結びつき、反政府運動へとつながっていったのです。

デモの発端

デモは、2011年1月18日にサナア大学で始まりました。この日、数百人の学生が反政府デモを実施し、これに対して治安部隊が威嚇発砲を行う騒ぎとなりました。1月22日、再びサナア大学でデモが発生し、今度は野党勢力を含む約2,500人が参加しました。治安部隊は催涙弾を使用し、抑え込みを図りましたが、サーレハを名指しで批判する声が高まりました。これにより、デモは南部でも広がり、アデンやラウダルでも抗議行動が発生しました。

政府の対抗策と混乱の拡大

反政府デモが続く中、サーレハは減税や物価抑制策などを発表して国民の不満を和らげようと試みましたが、蔓延するデモは収まることがありませんでした。2月2日、サーレハは2013年に任期満了を迎えた後、大統領を退く意向を示しましたが、即時辞任を求める野党の反発は強まり、「怒りの日」と名付けられたデモが実施されました。2月11日以降、連日デモが続き、対応する治安部隊との間に衝突が発生し、死者が増加していきました。

転機と辞任

反政府デモが高まり続ける中、3月19日にはサーレハの出身部族が彼の退陣を支持する声明を発表し、事態はさらに厳しくなりました。サーレハは2011年11月23日、サウジアラビアでの協議を経て、副大統領に権限を移譲することに合意しました。これにより、12月23日には彼の長期政権が終わりを迎えることになり、次期大統領選挙が予定されることとなりました。

新たな政権

2012年2月21日にはハーディー副大統領が唯一の候補として行われた大統領選挙で当選し、明るい展望が期待されました。こうしてイエメンの政治は新たな局面を迎えたのです。一連の騒乱は、サーレハ政権の崩壊だけでなく、イエメンの未来に向けた重要なステップとも考えられています。さらに、タワックル・カルマンがノーベル平和賞を受賞し、国際社会からも注目されました。彼女の活動は、イエメン内の政治的変革への期待を一層高めることとなりました。

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