2011年リビア内戦

2011年リビア内戦の概要

2011年に発生したリビア内戦は、長年続いていたカダフィ政権に対する国民の不満から発生した反政府デモが引き金となりました。デモは2月15日にスタートし、その後数ヶ月にわたる激闘を経て、8月にはカダフィ政権が崩壊することとなります。この内戦は、アラブの春という広がりをみせる動きの一環と出され、多くの国々に影響を及ぼしました。

背景

1969年から41年間にわたり政権を握ったカダフィ大佐は、強権的な統治を行い、反体制派に対する弾圧も厳しさを増していました。国民には豊富な石油資源がありましたが、カダフィ政権の支配により政治的な自由は抑圧されていたため、国民の間には不満が蓄積していました。2010年末にチュニジアで発生したジャスミン革命やエジプトの動乱は、住民に影響を与え、リビア国内でも同様の抗議活動が始まったのです。

デモの勃発と政府の弾圧

2月15日にベンガジで発生した人権活動家の釈放を求めるデモが警官隊と衝突。政府側は68人が負傷したと報告しましたが、事態は収束せず、デモは国内各地に広がりました。デモ隊は「怒りの日」として抗議を行い、治安部隊の弾圧によって死亡者が続出しました。21日に至っては、トリポリでデモが激化し、政府側は軍の武力を用いて鎮圧を試みました。

政権内の亀裂

国際社会からの批判が高まる中、政権内部でも亀裂が生じました。リビアの国連代表部員が脱藩したほか、大使も国外に亡命する事態が相次ぎ、カダフィ政権の存続に赤信号が灯りました。国民評議会が設立され、政権反対派として新たな一歩を踏み出しました。2月には、空爆作戦を行う軍も反政府派に転じ、公然とカダフィ政権に対抗し始めました。

国際的な軍事介入

国連安保理はリビアの情勢を受け、飛行禁止区域を設ける決議を採択し、西側諸国は多国籍軍を結成してカダフィ大佐の政府軍に対して空爆を開始します。特にフランスが主導的な役割を果たしました。この介入により、戦局は反体制派に有利に進展していくことになります。

カダフィ政権の崩壊

2011年8月、トリポリでは「人魚の夜明け作戦」が展開され、反体制派が首都を制圧。カダフィ大佐は逃げ延びようとしましたが、最終的には彼の居住地で拘束され、その後死亡しました。これをもってカダフィ政権は完全に崩壊し、国民評議会はリビア全土の解放を宣言するに至ります。

内戦のその後と現在の状況

カダフィ政権崩壊後、リビアは新たな政権樹立のための戦いが続き、特に親カダフィ派やイスラム過激派勢力の台頭により、「第二次リビア内戦」とも呼ばれる状況が続いています。それに伴い、国の統治機能が麻痺し、地方ごとに独自の政権が誕生し再び紛争状態に陥っています。

この内戦はリビア国内のみならず、国際的な影響をもたらし、原油価格にも大きな変動を引き起こしています。リビアにおける安定の回復は急務であり、多くの国家の注意が向けられています。

もう一度検索