2011年ロシア下院選挙

2011年ロシア下院選挙の概要

2011年12月4日に投開票が行われたロシア連邦議会下院国家院の選挙は、全450議席を巡って争われました。選挙の結果、与党である統一ロシアは得票率49.54％、238議席を獲得しましたが、これは2007年の選挙と比較して大幅な議席減となりました。一方、ロシア連邦共産党は19.16％で92議席、ロシア自由民主党は11.66％で56議席、公正ロシアは13.22％で64議席と、いずれも議席を増やしました。ロシアの下院選挙では、得票率7％以上の政党に議席が配分されますが、今回の選挙では上記の4党のみがこの基準をクリアしました。

選挙結果に対する疑惑

選挙後、選挙監視人からは与党統一ロシアが組織的な不正行為を行った疑いがあるとの報告が相次ぎました。具体的には、得票数の水増し、選挙監視人の妨害、不正な選挙運動などが指摘されています。野党からは「最も不正に満ちた選挙」との批判が上がり、海外からも「選挙は自由でも公正でもなかった」との非難が寄せられました。また、選挙結果に対する抗議デモが各地で発生し、多数の逮捕者が出る事態となりました。

阻止条項と有資格政党

ロシア下院の選挙では、得票率7％以上の政党に議席が配分されます。さらに、5％から6％の得票率を得た政党には1議席、6％から7％の得票率を得た政党には2議席が配分されます。今回の選挙には、議席を有していた統一ロシア、ロシア共産党、ロシア自由民主党、公正ロシアの4党に加えて、他の3党が参加資格を得ました。これらの政党は、15万人以上の署名を中央選挙委員会に提出する必要があり、署名数にも制限が設けられていました。

選挙前の世論調査

選挙前に実施された世論調査では、全ロシア世論調査センターとレバダ・センターが、統一ロシアの支持率が過半数を割り込む可能性があると予測していました。しかし、実際の選挙結果は、統一ロシアが49.54％の得票率を得る結果となりました。

選挙違反の詳細

選挙後、ロシア全土で1100件以上の選挙違反が報告されました。具体的には、不正投票、選挙監視人の妨害、不正な選挙活動などが指摘されています。複数の投票所で重複投票を行う事例や、選挙監視人が投票箱の封印を確認することを妨害された事例も報告されています。また、中央選挙委員会が発表した結果と、選挙監視人が記録した投票数との間に大きな乖離が見られた事例も多数ありました。独立国家共同体の国際選挙監視団は「重大な選挙違反はなかった」と発表しましたが、欧州安全保障協力機構は、政府および与党への権力集中がみられると指摘しました。得票の統計分析では、投票率と統一ロシアの得票率との間に強い相関関係があることが示され、票の水増しが行われた可能性が高いことが示唆されました。

国外の反応

ヒラリー・クリントン米国務長官は、この選挙を「自由でも公正でもなかった」と批判し、ロシア外相はこれに対し「受け入れがたいものだ」と反論しました。また、プーチン首相は「選挙監視団の報告書も読まずに選挙を批判した」とクリントン長官を非難しました。

抗議デモの発生

選挙不正疑惑を受け、モスクワやサンクトペテルブルクで大規模な抗議デモが発生しました。デモ参加者は「選挙結果はでっち上げだ」と訴え、プーチンの退任を求めました。デモ隊と警察との間で衝突が発生し、多数の逮捕者が出ました。一方で、政府系の青年団体も集会を開き、反政府デモ隊との間で衝突が発生しました。BBCは、ロシアの国営テレビが抗議デモを無視し、政府への支持活動だけを放映していると報じました。

出典

ロシア語）WCIOM:世論調査機関「全連邦世論調査センター」ホームページ
ロシア語）FOM:世論調査機関「世論基金」ホームページ

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