2012 009 conclusion GOD'S WAR

2012 009 conclusion GOD'S WAR -サイボーグ009完結編-

『2012 009 conclusion GOD'S WAR -サイボーグ009完結編-』は、石ノ森章太郎氏と小野寺丈氏による共著の小説であり、石ノ森氏のライフワークである『サイボーグ009』の完結編として位置づけられています。

概要

石ノ森章太郎氏は、過去に『天使編』や『神々との戦い編』といった完結編を発表しましたが、いずれも未完に終わっていました。そのため、『009』の完結は石ノ森氏にとって悲願であり、病に侵されながらも構想を練り続けました。21冊にも及ぶ膨大な構想ノートを残しましたが、自らの手で完成させることは叶いませんでした。

石ノ森氏の逝去後、生前から構想を聞かされていた小野寺丈氏が、構想ノートと石ノ森氏が部分的に書き上げていた原稿を基に完結させることになりました。しかし、プロットには没要素も含まれており、採用する要素の選定から行う必要がありました。また、章によって原稿の完成度が異なり、小野寺氏が全編を書き下ろした章もありました。

小説という形式での発表は石ノ森氏の意向であり、漫画化も視野に入れていました。しかし、石ノ森氏の逝去により漫画化は実現せず、島本和彦氏の『スカルマン』の構成も変更を余儀なくされました。

本作では、サイボーグ戦士たちが21世紀の人間であるという設定が採用されており、誕生経緯などが新たな解釈に変更されています。特に004の改造経緯は、ベルリンの壁が存在しない21世紀を舞台としているため、大幅な変更が行われています。

物語は、黒い幽霊団との戦いが終わり、それぞれの生活に戻ったサイボーグ戦士たちが、個々に不思議な事件に遭遇するところから始まります。これらの事件は、超常の力を持つ「神」の存在を暗示しており、彼らにとって最後の戦いの予兆となります。

東日本大震災の翌年、邪鬼と呼ばれる奇怪な化け物が日本を襲い、サイボーグ戦士たちは人々の命を守るために戦いますが、苦戦を強いられます。しかし、001の新たな力によって邪鬼を撃退し、その後は精神面からの攻撃に対抗するために超能力サイボーグへと進化します。

しかし、神々との本格的な戦いが始まると、再び劣勢に立たされます。さらに、008とギルモア博士が神々の側に付くという衝撃的な展開が待ち受けています。

本作におけるサイボーグ戦士の誕生経緯

2005年、宇宙開発を目的としたサイボーグ製作計画「C・A・P」が進められますが、その裏では軍需産業「黒い幽霊団」がサイボーグ兵士の開発を目論んでいました。001から009までのコードネームを与えられた被験者たちは、拉致同然に連れてこられた実験台でした。

登場人物

石ノ森章太郎: 萬画『サイボーグ009』の作者。ギルモアとの出会いを通じて真実を知り、完結編の完成を急ぎます。
アイザック・ギルモア: C・A・Pに参加していた科学者。サイボーグが戦争に利用されることを知り、彼らと共に脱走します。一連の戦いが終わった後は、イワンを引き取って育てています。
001 / イワン・ウイスキー: C・A・Pに参加した父親によって改造され、天才的な頭脳と超能力を得ました。戦いが終わった後はギルモアと共に暮らしています。
002 / ジェット・リンク: 元ニューヨークの不良少年。飛行能力を持つサイボーグに改造されました。戦いが終わった後は探偵業を営んでいます。
003 / フランソワーズ・アルヌール: パリのバレリーナ。宇宙空間でも情報を得られる視力と聴力を持つサイボーグに改造されました。戦いが終わった後はバレリーナに戻っています。
004 / アルベルト・ハインリヒ: ドイツのトラック運転手。様々な武器を内蔵したサイボーグに改造されました。戦いが終わった後はトラック運転手に戻っています。
005 / ジェロニモ・ジュニア: インディアン保留地で暮らしていた青年。超重機の役目を担う腕力を持つサイボーグに改造されました。戦いが終わった後は密猟者取締官として活動しています。
006 / 張々湖: 貧困から密航を企てた中国人。岩盤を溶かす熱線を放射するサイボーグに改造されました。戦いが終わった後は中華料理店のオーナーシェフとして働いています。
007 / グレート・ブリテン: 舞台俳優。あらゆる物体に変身できるサイボーグに改造されました。戦いが終わった後は再び舞台俳優として活動しています。
008 / ピュンマ: 大気圏外でも活動できるサイボーグに改造されました。戦いが終わった後はバミューダ海域深海の調査を行っています。
009 / 島村ジョー: 少年院から脱走した青年。加速装置を搭載されたサイボーグに改造されました。戦いが終わった後は考古学研究室の助手として働いています。

ウェブコミック

小野寺丈氏構成によるコミカライズ版が、2012年 4月13日より『クラブサンデー』にて配信されました。石ノ森氏の構想ノートと小説原稿に基づいて構成されており、単行本も小学館から発売されました。

参考資料

石ノ森章太郎選集・Shotaro World『サイボーグ009』
サイボーグ009 コンプリートブック
MF文庫『スカルマン』
* ETV特集『石ノ森章太郎サイボーグ009を作った男』

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