2013年茨城県知事選挙

2013年茨城県知事選挙

2013年（平成25年）9月8日に行われた茨城県知事を選出する選挙です。現職の橋本昌氏の4期目の任期満了に伴い実施されました。

概要

この選挙は、当時の茨城県知事であった橋本昌氏が、異例となる6期目を目指して無所属で立候補したのに対し、日本共産党の推薦を得た元茨城大学副学長の田中重博氏が挑む形となり、事実上の一騎打ちとなりました。主な論点となったのは、20年に及ぶ橋本県政に対する評価、県内に立地する東海第二原子力発電所の今後の再稼働の是非、そして県の財政再建に向けた具体的な方策などでした。加えて、現職である橋本氏の多選の是非も大きな争点の一つとして県民に問われました。

主要政党の動向では、直前の参議院選挙で勢いづいていた与党・自由民主党は、党の内部規定として「4期以上の現職は推薦しない」という原則があったため、6期目を目指す橋本氏への推薦を見送りました。前回選挙に続いて対立候補の擁立を検討したものの、直前の参院選準備で独自候補を立てる余裕がなかったことや、前回の知事選で擁立した候補が大敗した経験などもあり、候補者擁立を断念せざるを得ない状況となり、最終的には自主投票としました。また、党県連の下部組織である山方支部が独自に橋本氏に出馬を要請するという動きもあり、党県連がこれに不快感を示し撤回を求めるなど、党内での対応に混乱が見られました。山方支部は、自民党が独自候補を擁立した前回の知事選でも同様に橋本氏への出馬要請を行っています。

一方、野党に転落し、さらに参議院選挙でも敗北を喫していた民主党は、党の立て直しが最優先課題であったため、この知事選挙に候補者を擁立せず、前回に続き自主投票を決定しました。共産党は党独自の候補として田中氏を擁立し、労働組合の連合茨城は橋本氏を推薦するという構図でした。

選挙データ

告示日: 2013年（平成25年）8月22日
執行日: 2013年（平成25年）9月8日
当日の投票時間: 午前7時から午後8時まで
期日前投票期間: 2013年8月23日から9月7日まで
同日選挙: 茨城県議会議員補欠選挙（古河市、取手市、筑西市）、行方市長選挙、東海村長選挙、行方市議会議員補欠選挙

告示日には、立候補を表明していた3氏のうち、郡司氏を除く2氏が届け出を行い、橋本氏と田中氏による選挙戦が確定しました。なお、選挙戦開始前に農業の高嶋努氏と元会社員の郡司納氏がそれぞれ立候補を表明しましたが、最終的に出馬を取り止めています。

選挙のタイムライン（主な動き）

2013年4月17日 - 県内全市町村長が現職の橋本氏に出馬を要請。
2013年6月3日 - 自民党県連山方支部が独自に橋本氏へ出馬要請。
2013年6月18日 - 現職の橋本氏が県庁で会見を開き、出馬を正式に表明。
2013年6月21日 - 共産党推薦で田中氏を擁立することが明らかに。
2013年7月24日 - 自民党県連が独自候補擁立を断念し、自主投票を決定。
2013年7月27日 - 民主党県連が自主投票を決定。同日までに連合茨城は橋本氏の推薦を決定。
2013年8月2日 - 知事選説明会が開催され、4陣営が出席。高嶋氏が出馬を表明。
2013年8月16日 - 高嶋氏が出馬を取り止め。知事選事前審査が行われ、3陣営が出席。郡司氏が出馬を表明。
2013年8月22日 - 告示。郡司氏が出馬せず、2氏による選挙戦となる。
2013年9月8日 - 投開票。

各候補の訴え

橋本昌氏: 東日本大震災や福島第一原子力発電所事故からの復旧・復興の加速、小学校での少人数学級拡大による学力向上、県内医師確保と医療体制整備、企業誘致による雇用創出と地域活性化などを主な公約として掲げました。
* 田中重博氏: 東海第二原子力発電所の即時廃炉、大型開発の見直しと停止、消費税増税への反対、医療・福祉・教育予算の拡充などを主な公約として訴えました。

選挙結果

投票率は31.74%に留まり、第45回衆議院議員総選挙と同日に行われ、67.97%の高い投票率を記録した前回の2009年の選挙と比べて大幅に低下しました。この投票率は、過去の茨城県知事選挙の中でも3番目に低い記録となりました。当日の有権者数は240万84人に対し、実際に投票した人は76万1736人でした。

当選したのは現職の橋本昌氏です。6期目を目指した橋本氏は、5期20年の実績と経験を強調し、東日本大震災からの復旧・復興を最重要課題として選挙戦を展開しました。県内全44市町村長からの出馬要請を受けたことや、連合茨城などの各種団体の支持、さらに自主投票となったものの実質的に支援に回った自民党や民主党の議員らの後押しを受け、選挙戦を終始優位に進めました。特に自民党・公明党の支持層からの票を確実に集め、現職知事としては過去最長となる6期目の当選を果たしました。一方、共産党推薦の田中氏は、橋本県政の長期化を批判し、県政の刷新や東海第二原発の即時廃炉などを訴えましたが、長年の実績を持つ現職の強固な支持基盤を崩すには至りませんでした。

この選挙における低投票率については、事前に懸念されていました。過去の知事選挙は衆議院総選挙との同日選挙によって投票率が60%を超えていましたが、今回は国政選挙との同日選挙ではなく、また参議院選挙の直後というタイミングでした。このため、過去最低の投票率（2001年の29.93%）を下回るだけでなく、全国最低の投票率（2011年埼玉県知事選の24.89%）を更新する可能性も指摘されていました。期日前投票も低調に推移したため、県選挙管理委員会が異例の緊急声明を発表する事態となりました。

これに対し、県選挙管理委員会は投票率向上を目指し、様々な啓発活動を展開しました。具体的には、ご当地アイドルやご当地ヒーロー、ゆるキャラらを一日選挙管理委員に任命して有権者に投票を呼びかけたり、県内の地域を舞台にしたアニメ作品と連携した啓発動画を作成・公開したり、イラスト入りの啓発ティッシュを配布したりといった取り組みが行われました。これらの努力の結果もあり、最終的な投票率は31.74%となり、懸念された過去最低の記録を下回る事態は避けることができました。しかしながら、前回の投票率の半分以下であり、過去の茨城県知事選挙の中では依然として3番目に低い水準に留まりました。

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