2014年のラジオ (日本)

2014年の日本のラジオ界は、技術革新と番組改編が重なり、大きな変化の波が押し寄せた年でした。インターネットやスマートフォンの普及が進む中で、ラジオの聴取スタイルや放送のあり方自体に見直しの動きが見られました。

デジタル化と聴取環境の変化

この年の最も大きな出来事の一つは、4月1日に始まったIPサイマルラジオ「radiko.jpプレミアム」のサービス開始です。これは有料ながら、参加している多くの民放ラジオ局の番組を全国どこからでも聴取可能にする画期的なサービスでした。これにより、遠方の特定の番組を聴きたいリスナーにとって、聴取の自由度が飛躍的に向上しました。サービス開始後、順次対応局が増えていきました。また、かねてより議論されていた都市部での難聴対策や災害対策を目的としたAM局のFM補完中継局（ワイドFM）の整備も進展。9月には在京AM3局（TBSラジオ、文化放送、ニッポン放送）の墨田FM補完局に予備免許が付与され、11月には南海放送が日本初のAM・FM兼用放送局としてFM試験電波を発射、12月にはFM本放送を開始するなど、FMによるAM放送の補完が現実のものとなりました。FM文字多重放送「見えるラジオ」が3月に終了するなど、デジタル技術の移り変わりも確認されました。

放送局の動きと節目

経営上の理由による放送局の再編も発生しました。2月には岐阜エフエム放送が債務超過のため閉局し、翌3月には新たに設立されたエフエム岐阜に放送免許が引き継がれるという、民放ラジオ局では過去に数例しかない新旧分離が行われました。また、エフエムインターウェーブは商号を愛称と同じ「InterFM」に変更し、名古屋圏に外国語放送局「InterFM NAGOYA」を開局するなど、新たな事業展開も見られました。NHK-FM放送が本放送開始45周年を迎えたほか、多くの放送局が開局周年を迎え、ラジオの歴史を積み重ねた年でもあります。

番組の大きな改編

長年にわたり親しまれてきた多くの番組が終了を迎えました。

文化放送で27年の歴史を持つ『みのもんたのウィークエンドをつかまえろ』（3月終了）
文化放送で15年半続いたアニラジ『智一・美樹のラジオビッグバン』（9月終了）
TOKYO FM/JFNネットの『ハート・オブ・サンデー』（20年パーソナリティのnonaが勇退、3月終了）
JFN系列で23年半の歴史を持つ『Heavy Metal Syndicate』（6月終了）
ニッポン放送で20年半の歴史を持つ『ナインティナインのオールナイトニッポン』（9月終了、翌週から岡村隆史の単独番組として継続）

その一方で、『荒川強啓 デイ・キャッチ!』が5000回、『ナインティナインのオールナイトニッポン』（終了前に）が1000回など、多くの長寿番組が節目の記念回を迎えました。

多様な新番組の登場

時代の変化に合わせて、新しい番組も多数開始されました。注目された番組や一部の例として、以下が挙げられます。

文化放送と『ラブライブ!』のコラボ番組（期間限定、1月）
NHKラジオ第1 『ミュージック・イン・ブック』（4月）
TBSラジオ 『週末お悩み解消系ラジオ ジェーン・スー相談は踊る』（4月）
ニッポン放送 『土田晃之 日曜のへそ』（4月）
東海ラジオの平日帯番組の大型改編（9月開始）
文化放送 『楽器楽園〜ガキパラ〜 for all music-lovers』（10月）
MBSラジオ 『AKB48木﨑ゆりあ 2014年のシンデレラ』（10月、ネット）

人気パーソナリティやタレント、アイドル、専門家など、多様な出演者による様々なジャンルの番組がリスナーに届けられました。

追悼特別番組

年明け早々には、ラジオ界と縁の深かった著名人の追悼特別番組が相次いで放送されました。前年末に死去した大瀧詠一氏の追悼番組がニッポン放送制作で全国ネットで緊急生放送されたほか、MBSラジオでは、やしきたかじん氏の追悼番組が放送され、多くのリスナーが故人を偲びました。

2014年は、radikoプレミアムやFM補完放送の進展に見られるように、ラジオの聴取環境がインターネットや新しい電波の活用によって変わり始めた年であり、同時に多くの長寿番組が終了し、番組編成の世代交代も進んだ、ラジオ界にとって大きな転換点となった一年と言えるでしょう。

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