2014年クリミア危機のタイムライン

2014年、ウクライナで発生した政変に乗じ、ロシアがクリミア半島を併合した一連の出来事を時系列で追います。

2月

23日: クリミア自治共和国の首都シンフェロポリで、ウクライナ新政権支持派が大規模な集会を開催。一方、セヴァストポリでは、新政権に反対する人々が独自の政権樹立と自警団の設立を支持。ロシア軍車両の目撃情報も流れるなど、緊張が高まります。

24日: クリミア自治共和国首相はウクライナ議会の決定に従うと宣言するも、セヴァストポリでは親ロシア派がロシア国旗を掲げ、市長を選出。新コサックが中心となり、反EUを訴えるデモも発生し、情勢はさらに不安定化します。シンフェロポリでは、分離住民投票を求める人々が庁舎を占拠しました。

25日: クリミア議会が親ロシア派によって占拠され、クリミアの独立を求める動きが加速します。

26日: セヴァストポリで市民間の衝突が発生。主要道路がロシア軍と地元志願兵によって封鎖されたとの報道も。ロシアはウクライナ国境付近で大規模な軍事演習を開始し、威圧的な態度を示しました。

27日: ロシア軍部隊がクリミアの主要な建物を占拠。クリミア議会は、反対派議員が排除された状況下で、新首相を選出し、クリミアの帰属を問う住民投票の実施を決定。ウクライナ暫定政権は、事態を収拾しようと努めます。

28日: 国籍不明の武装集団がシンフェロポリ国際空港を占拠。セヴァストポリ国際空港も同様に占拠され、ロシア軍艦艇がバラクラヴァ湾を封鎖。ロシア軍のヘリコプターも展開するなど、ロシアの関与が明白になります。アメリカ合衆国大統領はロシアの行動を非難しました。

3月

1日: クリミア自治共和国首相がロシア大統領に平和維持を要請。ウクライナ東部と南部では、クリミアのロシア人支持を訴える人々が庁舎などを占拠。ロシア連邦議会は、ロシア軍のウクライナへの投入を承認し、事態は深刻化します。

2日: フェオドシヤ周辺のウクライナ海軍部隊が武装集団に包囲され、セヴァストポリのウクライナ海軍ビルもロシア軍による攻撃を受ける。ロシアメディアは、クリミアのウクライナ陸軍部隊が「大規模に」投降していると報道。ウクライナは予備役兵を召集し、対抗姿勢を示します。

3日: ウクライナ海軍の新任司令官がキーウ政府の命令に従うことを拒否し、クリミア自治政府は独自の防衛省を創設。ウクライナ軍はロシア軍から降伏を要求される状況に陥ります。

4日: クレムリンがウクライナの親ロシア派を支援。そのうちの一人は後に誘拐され、暴行を受ける事件も発生。

5日: クリミア政府は、複数のウクライナ軍部隊が離脱し、クリミア政府を支持したと発表。同時に、ウクライナの使節が国の中立を廃止し、欧米との統合を進める法案を提出。ロシア兵がケルチの通関に侵入し、ウクライナ国境警備隊の幹部が人質に取られる事件も発生します。

6日: クリミア最高会議はウクライナからの離脱とロシア編入を決定し、住民投票の実施日を繰り上げます。ウクライナ政府は住民投票を違憲と主張し、緊張はさらに高まります。

9日: ロシア黒海艦隊がドヌズラフ湾で艦船を自沈させ、ウクライナ海軍の艦船を封鎖します。

10日: 武装勢力がシンフェローポリの軍病院を占拠し、親ロシア派の兵士の治療に利用します。

11日: クリミア最高会議はクリミア独立宣言を可決し、住民投票の結果次第でロシアへの編入を求めることを決定。

13日: ロシアは親ウクライナ派のウェブサイトをブロックし、インターネット上での情報統制を強化します。

15日: ロシア軍部隊が天然ガス集配送センターを奪取し、ウクライナはクリミアへの電力供給を遮断できなくなります。

16日: クリミアでロシア編入の是非を問う住民投票が実施され、ロシア編入支持が圧倒的多数を占めます。

17日: クリミア自治共和国は独立を宣言し、ロシアへの編入を要請。ロシアは即日これを承認します。

18日: ロシア大統領がクリミア共和国との間に編入条約を締結し、クリミアはロシア連邦の一部となります。大統領は、クリミア併合をコソボ独立に例え正当化し、西側諸国を批判。

19日: ウクライナ国防省は、クリミアからすべての軍関係者を撤退させると発表します。

20日: ロシア下院が編入条約を批准。

21日: ロシア上院が編入条約を批准し、クリミアとセヴァストポリはロシアの領土となります。ロシア軍はウクライナ軍の基地を包囲・降伏させ、掃海艇も拿捕します。

24日: 東クリミアのウクライナ海兵大隊が無条件降伏し、この危機の軍事的な局面は事実上終了しました。

このタイムラインは、クリミア危機が短期間のうちに急速に展開し、国際社会に大きな波紋を広げたことを示しています。ロシアによるクリミア併合は、ウクライナとの関係だけでなく、国際秩序にも影響を与え、現代における地政学的な緊張の一例として記憶されています。

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